新型コロナウイルス~ワクチンへの期待と行動制限緩和について

更新日:2021/06/02

新型コロナウイルス~ワクチンへの期待と行動制限緩和について

当初、新型コロナウイルス感染症に対するワクチンの開発には、専門家も含めて悲観的な意見が多かったです。その理由として、呼吸器感染するウイルスに対しては、これまで十分に切れ味鋭いワクチンが無かったからです。インフルエンザワクチンはインフルエンザの予防に有効ですが、有効率は十分に高くはありません。また、RSウイルスやライノウイルスにはまだワクチンがありません。

ところが、新しい技術で開発されたmRNAワクチンやウイルスベクターワクチンの発症予防効果は非常に高いことがわかりました。また、接種により重症患者も減少することが確認されました。さらに最近は、欧米やイスラエルにおいて、感染予防効果も期待させる研究成果が報告されています。開発間もないワクチンですから、長期的な予防効果や、稀な頻度で発生する副反応に関しては、今後もデータを集積していく必要がありますが、コロナ禍から脱却する手段として多くの期待が寄せられています。

海外では、ワクチン接種を済ませた者に対して、マスク不要やコンサート入場可など、行動制限の緩和措置を進めている国もあります。それを受けて、わが国でもワクチン接種済み者に日常生活の制限緩和を望む声が高まっています。

ワクチンは個人を守る手段であると同時に、集団として免疫を付与し、社会での感染症流行を防ぐ公衆衛生の手段です。複数回の緊急事態宣言により、流行の波と小康状態を反復してきたわが国ですが、いまだ集団免疫を獲得できるほどワクチンは普及していません。多くの者が免疫を得るまで、感染予防を心がけた日常生活の自粛は、もう少し継続する必要があると思います。

   NHKニュースサイト NHK News Upにて「ワクチン打ったらマスク外していいの?~専門家に聞きました」が掲載されていますので、あわせて参考になさってください。
          https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210604/k10013066051000.html

執筆者

小児科 部長  中野 貴司
専門医・指導医 日本小児科学会小児科専門医・指導医/日本感染症学会専門医・指導医/ICD制度協議会認定インフェクションコントロールドクター(ICD)/国際渡航医学会認定資格/臨床研修指導医 /厚生労働省厚生科学審議会 委員
専門領域・得意分野 小児科、感染症、予防接種、国際保健

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