新型コロナウイルス~変異株について

更新日:2021/06/02

新型コロナウイルス~変異株について

   新型コロナウイルス感染症の病原体「SARS-CoV-2」では、ゲノム塩基のどこかに約2週間に1回の頻度で変異が起き、そのためにウイルスのタンパク質を構成するアミノ酸に変化が起こります。変化の起こったウイルスが伝播するようになると「変異株」と呼称されますが、スパイクタンパク質に関連したアミノ酸配列の変化は、ウイルスの感染しやすさ(伝播性)やワクチンで誘導される抗体の中和作用に影響が出るとされています。

従来のタイプよりも感染しやすい、あるいはワクチンの予防効果が低下する可能性が危惧される変異株が世界各地で報告されており、検出された地名から英国型、南アフリカ型、ブラジル型、インド型、ベトナム型などと呼称されます。

現在日本では、海外とのリンクを追えない感染者から各種の変異株が検出されており、すでに国内で変異株の感染伝播が発生しています。これらの分析・評価を行い、水際対策を含む監視体制を強化することはもちろん大切ですが、国内で新たな変異株が発生する可能性もあります。

ウイルスの感染しやすさ(伝播性)が高まって患者数が急増すると、医療逼迫や医療崩壊につながります。従来は患者が少なかった小児への感染や、学校や保育所でのクラスター発生も危惧されます。また、ウイルスの抗原性変化による中和抗体活性の低下は、ワクチンの有効性への影響に加えて、新型コロナウイルス感染症に一度罹ったことのある者が再感染するリスクが増大することも懸念されます。変異株への対策は、今後の最重要課題のひとつです。

執筆者

小児科 部長  中野 貴司
専門医・指導医 日本小児科学会小児科専門医・指導医/日本感染症学会専門医・指導医/ICD制度協議会認定インフェクションコントロールドクター(ICD)/国際渡航医学会認定資格/臨床研修指導医 /厚生労働省厚生科学審議会 委員
専門領域・得意分野 小児科、感染症、予防接種、国際保健

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