多発性骨髄腫について

更新日:2022/03/30

多発性骨髄腫について

  多発性骨髄腫とは、血液を流れている細胞の中で、リンパ球から変化した形質細胞が腫瘍化した悪性腫瘍です。血液の悪性腫瘍で、2018年には年間で約7,700人が罹患している病気です。遺伝や感染症などの特別な原因はなく、色々な要素が重なって発症し、ご高齢の方ほど増えていきます。
 形質細胞は、外敵に対する抗体である免疫グロブリンというタンパク質を作り、異物を排除する役割をしていますが、これが腫瘍となり、きちんと働かない抗体をたくさん作ります。骨髄は血液の細胞を作る場所なので、腫瘍細胞に占拠され正常な血液が作れなくなり、「赤血球が減少し貧血になる」「白血球が減少し免疫力が低下する」「血小板が減少し血が止まりにくくなる」などを引き起こしたり、臓器障害を起こすことがあります。
 また、骨髄腫の細胞は骨を溶かす細胞を刺激し、骨を溶かしやすくしてしまい、ちょっとしたことで骨折したり、体のあちこちが痛くなってきたりします。
 健康診断の血液検査で貧血やグロブリンの高値を指摘されることや、腎不全障害、痛みや骨折から見つかることが多くあります。
 短期間のうちに何回も骨折する、少しぶつけただけなのに骨折する、などの症状がある場合は、主治医の先生に相談してみることをお勧めします。

執筆者

内科 副部長  中西 秀和
専門医・指導医 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医/日本血液学会認定血液専門医
専門領域・得意分野 血液病学、造血器腫瘍、溶血性貧血

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