大腸がんについて

大腸がんについて

食事の欧米化が進んだことによって近年大腸がんが増えています。直近の統計では、大腸がんと診断される方は年間約15万人で、うち5万人くらいが亡くなっているといわれており、男性では死因の3位、女性では1位となっています。肉食や高脂質の食生活、食物繊維の摂取が少ないこと、飲酒・喫煙などが原因として疑われています。また、遺伝的になりやすい方もおられるので、親族にがんの方がいる・いないということもリスクとなります。
 早期では自覚症状がほとんどありません。進行してくると便に血が混じったり、下痢・便秘、お腹の張り、さらに進行すると腹痛といった症状が出てきます。また、出血にともなって貧血になったり、進行によって体重が減ったりします。症状が出てくるときはかなり進行していることも多く、早期発見が重要です。
 がんが腸の一番内側にある粘膜に留まっている場合は、多くの場合内視鏡切除が可能ですが、粘膜を超えてしまったがんはリンパ節への転移の恐れが出てくるため、外科手術が必要になります。また、多臓器に転移するなど手術が不可能なくらいがんが進行している場合は、抗がん剤が標準的な治療となります。手術後がんが再発した場合にも抗がん剤による治療となることが多いです。大腸がんは、抗がん剤によって完治させることは難しく、病状のコントロールが主となるため、強い副作用が出るような治療は一般的には行われません。大半の場合は、外来での通院治療が可能です。
 外科手術は、小さな穴からカメラと専用の手術器具を入れてテレビモニターを見ながら手術を行う腹腔鏡手術が一般的になっています。近年ではこの腹腔鏡からさらに発展させて手術ロボット(ダヴィンチ)を使った手術が広がってきています。腹腔鏡と同様に小さな穴からロボットアームを入れていくのですが、従来の手術では不可能であった複雑かつ繊細な作業が可能です。画像は3Dで立体的に見ることができ、拡大して鮮明な画像を映し出すことができます。これらの機能によって組織の損傷を最小限に抑えた手術が可能になっています。当院でもこのロボットがすでに導入されており、適応となる病状に対しては積極的にロボット手術を行ってまいりますのでご期待いただければと思います。
 病状によっては放射線治療も治療の選択肢となりますが、当院では放射線治療センターが常設されており、必要時には迅速に対応することが可能です。また、残念ながら治療の甲斐なく末期状態まで進行してしまったがんでも、当院では緩和医療の専門チームと緩和ケア病棟による終末期医療の提供も可能です。
 最後に、以上のように当院では大腸がんに対し手術から抗がん剤治療、緩和医療まで行うことが可能であり、これを我々外科が中心となって治療しています。ただ最も重要なのは早期に発見することで、早期では内視鏡治療などの負担の少ない治療で、約9割の方が完治するといわれています。再発のリスクも低く、治療後も健康な生活を送ることができますので、健診や内視鏡などを利用して定期的にチェックを怠らないことが重要です。

執筆者

外科 医長  松原 正樹
専門医・指導医 日本外科学会外科専門医/日本医師会認定産業医/ICD制度協議会認定インフェクションコントロールドクター/医学博士
専門領域・得意分野 消化器外科

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