精索とは、精子の通り道である精管・血管・リンパ管・神経などが束になったものです。その中を通る静脈は、精巣から心臓まで血液が戻る道です。精巣から近い場所では、細かく枝分かれした網目のようになっているのですが、その部位が主に逆流して拡張し「瘤(こぶ)」のようになっている状態を精索静脈瘤といいます。
自覚症状としては、鼠径部の痛み、陰嚢の不快感が生じることが主訴であります。その他にも男性不妊に関与していることが最近分かっており、その治療の目的で受診される方も沢山いらっしゃいます。静脈瘤があることによって非常に神経が過敏になり、痛むことが多くなります。見た目は、大きくなるとブドウの房ぐらいになる方もいらっしゃいます。大きくなれば不快感や痛みが出る症例が多いです。見た目の症状だけでは手術適用にはなっていませんが、若い方では男性不妊症になる可能性もあるので、そういう場合は手術をお勧めしています。
病気の原因として特に人種差や遺伝的な因子などは分かっていません。年齢は、若い頃(思春期ぐらい)からできてくるのではないかと考えられています。18歳を過ぎてからできるケースというのはあまり無く、血管が発育する過程で出現するのではないかと考えられています。
症状は若いころに出てくるケースが多いですが、大人になってから痛みが出てくるなど個体差があります。一般的に小さいものを含めると、一般男性の20-30%くらいに精索静脈瘤が存在すると言われています。静脈の弁の性状が少し悪かったり、帰ってくる静脈の道が長くなってしまったりする人に起こります。
治療方法は基本的には手術療法のみです。手術には色々な方法がありますが、精巣に一番近い場所で逆流している静脈を処理するという方法が現在は主流になっています。99パーセントくらい手術の有効性がありますので、術後は再発がないかの確認だけで大丈夫です。
昨年から、不妊症一般に対して保険適用になりましたので、鼠径部の痛みや不快で悩まれている方や、妊活をされていてなかなか思うようにいかなかったりする方には、専門医の受診をお勧めします。