口腔が全身の健康に及ぼす影響

更新日:2016/11/25

口腔が全身の健康に及ぼす影響(歯の喪失と全身の健康)

口腔が全身の健康に及ぼす影響については、歯を失うことによるものと口腔内細菌による影響があり、近年さまざまな角度から研究がされていますが、ここでは歯を失うことによって起こる影響について考えてみましょう。

口腔の2大疾患と言われる、『う蝕』そして『歯周病』も、最終的な転帰は歯の喪失であり、実際に歯の喪失原因の大半を占めています。
 多くの研究から、歯の喪失が一定のラインを超えると咀嚼能力の低下がみられることがわかっており、それが80歳で20本の歯を残そうという8020 運動の論拠にもなっています。すなわち、残存歯数が20本を下回ると、食品を噛むことが不自由に感じる人が増え、またそのことにより軟食傾向など食品の選択行動の変化による生活習慣病やその要因とも言われる内臓脂肪症候群(メタボリック シンドローム)を招いたり、栄養の偏りや食欲の低下による低栄養を招きます。特に低栄養は、長く続くと筋量の維持に必要なタンパク質などの摂取が不充分になり筋力の低下、そして運動能力の低下などを招き、身体的自立が損なわれる要因としても非常に重視されています。

その他にも、咀嚼機能が視覚や聴覚、あるいは脳機能(学習記憶能力、認知症等)にも影響を与えるとされており、歯や口腔の健康を保ち、歯の喪失を防止し、『咀嚼』という機能を維持することは、すなわち全身の健康をも維持することにもつながることがさまざまな研究によって明らかにされてきています。


執筆者

歯科 医長  杉 英樹
専門医・指導医 日本歯科人間ドック学会認定医/岡山大学歯学部臨床准教授、医学博士
専門領域・得意分野 歯科一般、口腔外科

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