近年、前立腺がんの早期発見を目的に、PSAという血液検査が広く行われています。前立腺がんではPSA値が高いことが多いのは事実ですが、逆にPSA値が高いことが必ずしも前立腺がんを意味しません。がんのみでなく、色々な原因で高くなりますので、どの原因に該当するか調べていきます。
1.PSAとは
PSA(前立腺特異抗原)は、前立腺が産生する酵素で、精液中に分泌され、精液の性状に関連するとされています。微量が血液中に取り込まれ、その値を測定することで前立腺がんの診断に用いています。正常でも0ではなく、いくらかの値を示しますが、前立腺がんになると上昇します。その上昇の程度をみて、精密検査の対象かどうか判断されます。年齢で基準値が変わり、65歳以下で3.0ng/ml以下、65-70歳で3.5ng/ml以下、70歳以上で4.0ng/ml以下を目安としています。
2.PSAと前立腺がんとの関連
PSA検査を複雑にしている理由は、PSA値が高くなる原因ががんだけではないこと、つまり、高い=がんとは限らないことです。がん以外で高くなる原因として、前立腺肥大症、排尿障害、炎症などがありますが、いくら調べても原因が不明なこともあります。
つまり、PSA値が高いからといって、必ず治療が必要とは限りません。色々調べて、治療が必要なものがあるかどうかを判断します。
一般にPSA値が10ng/ml以下の場合、前立腺がんと診断される可能性は25-40%、10-20ng/mlの場合、60-70%、20ng/ml以上の場合は、80%以上とされています。
3.必要な検査
年齢などの条件により、実施する検査は変わります。
①検尿:感染の有無を判断します
②超音波:前立腺肥大症の有無を調べます
③直腸診:前立腺の腫大や硬結の有無を調べます
④PSA値:個々により、測定するたびに上下するひとがいます
⑤MRI:がんに特有の所見の有無を調べます
⑥前立腺生検:前立腺がんかどうかの確定診断は生検ですが、実施するかどうかは、個々の条件を考慮した後の医師の判断によります。
個々の状態で適応となる検査内容は大きく変わります。詳細は、担当医にご相談ください。