よくわかる脳卒中のお話・・・その16

更新日:2018/01/26

手足のふるえ

生理的振戦
人は気持ちが高ぶったり、疲れたり、寒いところに行くと手足が震えることは誰でも経験することです。非常に小刻みに手足が震えて、しばらく時間が経つと消えます。
ふるえのほとんどは生理的振戦といわれるもので、病的な意味合いはありません。

パーキンソン症候群
手足のふるえを訴えて私たちの外来に来られる方の中には、手足のふるえ手足の筋肉が硬い動こうと思ってもなかなか動けない、という3つの特徴を持つパーキンソン症候群があります。脳卒中が原因でパーキンソン症候群になる方もおられます。このような患者さんにはパーキンソン病の治療と同様にドーパミンの薬を内服していただくと症状が軽減します。
高齢者の方に上記のパーキンソン症候群と似た手足のふるえが現れる場合もあります。動こうとすると手足のふるえが出てくるのが特徴です。

脳卒中による手足のふるえ
ところで、脳卒中でも手足のふるえが出ることがあります。小脳という部分に脳梗塞や脳出血が起こると、手足のふるえが左右片側の半身に現れることがあります。
突然に起こるので、他の手足のふるえを起こす病気とは違います。その障害が及んだ脳の部分が大きいと、見る見るうちに意識が悪くなって死に至ることもあります。


ふるえのその他の原因
その他、手足のふるえはアルコール、たばこ、肝臓病、ホルモン異常でも起こることがあり、その原因は多種多様です。治療可能なものもあります。年齢のせいで治らないと決めつけるのではなく、一度検査をしてみてはいかがでしょうか。



次回は、脳の画像検査について、詳しくご説明します。

執筆者

脳卒中科 副部長  井上 剛
専門医・指導医 日本内科学会認定内科医/日本脳卒中学会認定脳卒中専門医/脳血栓回収療法実施医
専門領域・得意分野 神経疾患全般/脳卒中全般

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