人は気持ちが高ぶったり、疲れたり、寒いところに行くと手足が震えることは誰でも経験することです。非常に小刻みに手足が震えて、しばらく時間が経つと消えます。
ふるえのほとんどは生理的振戦といわれるもので、病的な意味合いはありません。
〇パーキンソン症候群
手足のふるえを訴えて私たちの外来に来られる方の中には、手足のふるえ、手足の筋肉が硬い、動こうと思ってもなかなか動けない、という3つの特徴を持つパーキンソン症候群があります。脳卒中が原因でパーキンソン症候群になる方もおられます。このような患者さんにはパーキンソン病の治療と同様にドーパミンの薬を内服していただくと症状が軽減します。
高齢者の方に上記のパーキンソン症候群と似た手足のふるえが現れる場合もあります。動こうとすると手足のふるえが出てくるのが特徴です。
〇脳卒中による手足のふるえ
ところで、脳卒中でも手足のふるえが出ることがあります。小脳という部分に脳梗塞や脳出血が起こると、手足のふるえが左右片側の半身に現れることがあります。
突然に起こるので、他の手足のふるえを起こす病気とは違います。その障害が及んだ脳の部分が大きいと、見る見るうちに意識が悪くなって死に至ることもあります。
ふるえのその他の原因
その他、手足のふるえはアルコール、たばこ、肝臓病、ホルモン異常でも起こることがあり、その原因は多種多様です。治療可能なものもあります。年齢のせいで治らないと決めつけるのではなく、一度検査をしてみてはいかがでしょうか。
次回は、脳の画像検査について、詳しくご説明します。