MRI(Magnetic Resonance Imaging:磁気共鳴画像診断)検査は、強力な磁石を内蔵した装置の中に入り、磁気の力を利用して身体のあらゆる断面や脈管などを撮影する検査です。放射線による被ばくは一切なく画像診断が行える検査です。
人の体は半分以上(約50~80%)が水分でできています。MRIでは、この体の中の水分(水素原子)に対して「磁力」や「電磁波」を用いることにより、核磁気共鳴という現象を起こし、収集したデータを画像化しています。そのため、体内において水分が多い脳や脊髄、肝臓などの撮影に優れています。それとは逆に、空気やガスが多い肺や腸管などに関しては検査が困難とされています。
MRI装置は磁力を使って検査を行うため、装置ごとの「磁力の強さ」が検査に大きく影響を及ぼします。そして、この磁力の強さはテスラ(T)という単位で表され、テスラが大きいほど性能が良く細かい検査を行うことができます。現在、医療施設では「0.4テスラ、1.5テスラ、3テスラ」の3種類の性能のMRI装置が主に使用されています。当院では、1.5テスラと3テスラの装置を用いて検査を行っています。

当院は、PHILIPS社3.0T、1.5T、Canon社1.5Tの3台が稼働しています。
MRIは非常に強力な磁場を用いて検査を行うため、金属製の物をMRI室内へ持ち込むとMRI装置に強力な力で吸引され、非常に危険です。また、電子機器や体内に埋め込んである機器等もMRI室内へ持ち込むと異常や誤作動を起こす場合があるため、検査前に確認をする必要があります。必要に応じて、検査衣に着替えていただく場合があります。MRI室には鍵のかかるロッカーを用意していますのでご利用ください。検査室に入る前に、スタッフが金属類の外し忘れが無いかを確認させていただきますので、ご協力をお願い致します。



検査によっては、詳しく調べるために造影剤を体内に投与して検査することがあります。
検査前に看護師に点滴を確保してもらい、検査の途中でその点滴から造影剤というお薬を流していきます。

造影剤を使って検査することにより、新しい病変が見つかったり、病変の性質についてより詳しい情報を得たりすることができます。検査内容や造影剤の必要性を充分ご理解していただいた上で使用します。副作用の少ない薬ですが、稀に副作用が起きることがあります。注入後、気分が悪くなったときは迅速に対応する体制を整えておりますので、安心して検査をお受けください。造影検査後、数日後に遅れてじんましんや発赤などの症状が出ることがまれにあります。検査終了後に、緊急時の連絡先を書いた紙をお渡し致しますので、症状が出た際にはすぐにご連絡ください。また検査後は、水やお茶などの水分を積極的に摂取してください。
脳MRI検査では、脳梗塞や脳腫瘍、脳出血などの脳血管疾患の有無を調べることができます。その他に、てんかんや認知症の診断にも用いられています。また、脳動脈瘤や動脈硬化など、わずかな異常を早期に発見することで、脳の病気を未然に予防することが可能です。MRI検査では、さまざまな撮影方法を用いて、脳実質や脳血管を任意の方向で確認できるのが特徴です。
検査時間 10分

造影剤を使用せず、冠動脈(心臓を取り巻く動脈)の小さな病変を鮮明に描出し、心臓内の血液の流れや心臓の壁の動き、ポンプ機能の状態がわかります。
造影剤を使用した場合、心筋内のごくわずかな心筋梗塞を検出することができます。また、心筋の血流状態を画像化することも可能です。
検査時間 60分程度

超音波検査とは異なった視点で、肝臓・膵臓・胆のうを中心とした上腹部を詳細に検査します。超音波検査の弱点である、空気(肺の空気や消化管の空気など)や骨の影響を受けることなく、高い精度で小さな病変を検出できます。また、「MRCP検査」では、胆道(胆管・胆のう)や膵臓の中を通る膵管を細かく検査できます。
検査時間 20分程度
注意事項 検査によっては4時間程度の絶食が必要な場合があります

超音波検査では得られない疾患、子宮筋腫や卵巣腫瘍の位置なども正確に情報を得ることができます。また、子宮頸がんの早期発見に有効な子宮頸部細胞診検査と合わせて実施することで、より精度の高い婦人科検査となります。
検査時間 15~20分程度

近年では装置ならびに撮影技術の向上により、微小な早期前立腺がんの発見が可能になりつつあります。特に見逃しがちであった部位のがんなどを高感度で発見でき、浸襲性(X線被ばくや苦痛など)がなく、且つ、がん病巣を高感度に検出できるのが特長です。PSA検査と組み合せることで疾病の発見率を高めます。
検査時間 15~20分程度

骨、関節、靭帯などの構造や状態を画像化することが可能です。また、複数の画像を撮像することで、骨、靱帯、軟部組織の腫瘍などの性状を把握することもできます。 スポーツ障害では、靱帯損傷や筋断裂、膝関節の半月板損傷などの診断に適しています。変形性膝関節症では、軟骨のすり減り具合や関節部の炎症を確認できるため、治療方針の決定に役立てられています。
検査時間 15~20分程度

椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、圧迫骨折など、脊椎疾患の描出に優れています。椎間板の変性や脱出の有無とその程度、骨棘や靭帯による硬膜嚢の圧排の有無、脊髄圧迫の程度や変性の有無などが観察できます。
検査時間 15分程度

その他当院では様々な検査を行っています。