講演1 入院!その前に知っておく自分自身のこと
[講師]川崎医科大学総合医療センター
患者診療支援センター看護副師長 高橋 洋子
もし、病気になり療養するとしたら病院と在宅のどちらを選ばれるでしょうか?
もし入院になった場合、そのかかりつけ医や訪問看護師、ケアマネジャー等と急性期病院の医療従事者がしっかり連携し、全力で支援します。そして再び望まれるところへ帰れるように伴走していきます。
当院では、安心して入院し治療が受けられるように、入院前に入退院サポートセンターの看護師が、患者さん・ご家族と面談をします。ご自身の病歴や診療を受けた病院名、食べ物によるアレルギーやお薬による副作用などもお知らせください。
患者さんもご家族も医療チームの一員です。
入院中は退院支援スタッフが、医師、病棟看護師、他職種と協力しながら、入院から退院後の療養生活を安心して過ごしていただけるように、専門職の立場から支援しています。今後どのような人生を歩んでいきたいのか、自分自身に起こるかもしれない将来について考える機会になればと思っています。
今までどおり住み慣れた地域で、家族に迷惑をかけず過ごしたいと願っている方が多いのではないかと思います。平成28年度の、市民や医療・介護の専門機関に対する在宅医療に関する意識調査では、「医療や介護が必要になった時、どこで過ごしたいですか」との問いに、自宅で過ごしたいと答えた方は32.3%、「終末期はどこで過ごしたいですか」との問いに自宅と答えた方は39.8%でした。しかし、実際には「自宅で亡くなる方」は12.1%であり、ご本人の意思や希望とは異なっていることがわかります。
その背景には、「一人暮らしで相談する人がいない」、「もし何かあったらどうしていいのかわからない」、あるいは「何でも自分でできないと在宅は無理ではないか」等のご本人・ご家族の不安があると思われます。しかし、自宅で過ごしたいという思いを支えてくれている方々が身近にいます。訪問診療の医師や訪問看護師、ケアマネジャーなどの専門的な知識を持っている方々や、時には地域住民の方々です。そしてなによりも、ご自身の心身について何でも相談でき、通院が困難になった際には自宅へ訪問診療をしてくれる、かかりつけ医を持つことをお勧めします。
もし入院になった場合、そのかかりつけ医や訪問看護師、ケアマネジャー等と急性期病院の医療従事者がしっかり連携し、全力で支援します。そして再び望まれるところへ帰れるように伴走していきます。
当院では、安心して入院し治療が受けられるように、入院前に入退院サポートセンターの看護師が、患者さん・ご家族と面談をします。ご自身の病歴や診療を受けた病院名、食べ物によるアレルギーやお薬による副作用などもお知らせください。
受診時や入院時にはお薬手帳を持参されることもお勧めします。また、入院前にできていた生活動作や薬の管理が、入院中も引き続きご自身で継続できるように、自分でできることはできるだけ自分でしたり、わからないことがあればしっかりと質問をしてください。
入院中は退院支援スタッフが、医師、病棟看護師、他職種と協力しながら、入院から退院後の療養生活を安心して過ごしていただけるように、専門職の立場から支援しています。今後どのような人生を歩んでいきたいのか、自分自身に起こるかもしれない将来について考える機会になればと思っています。
【参考資料 市民のひろばおかやまvol.29特集号2017年10月号】
高橋看護副師長の講演様子
[講師]川崎医科大学総合医療センター
ICU看護主任 富阪 幸子
フローレンス・ナイチンゲールは、『病気とは回復過程であり、看護はその人自身が持つ「自然治癒力」を妨げないように援助することである』と言っています。病気を治していくのは、患者さん自身の生命力であり、私たち医療従事者は、それをお手伝いしている、とも言えます。そう考えると、患者さん自身が自分の病気について知り、病気の回復のためのケアに参画していくということが重要となってきます。今回は、入院生活の中で、患者さんやご家族の協力が最も必要なリハビリテーションと、早期回復に役に立つ入院生活についてお話ししました。
安静が治療の一環として捉えられていた時代もありますが、現在では、「早期離床」といって、なるべく早く起きる・歩くことの方が、多くの合併症から体を守ることに有効であるとされています。1週間の寝たきりによって筋力は20%低下し、1か月間では88%低下するというデータも出ています。そのため、血圧や脈拍の値が落ち着き、医師から許可が出た後からは、手術の翌日であっても、人工呼吸器を付けた状態であっても、座る・立つ・歩くということを、医療チームで取り組んでいます。看護師と共に行える筋力トレーニングや、体操の一例を示したいと思います。
入院になる理由は様々ですが、免疫力が低下した入院生活の中では、「歯を磨くこと」や「食事をすること」、「ベッド周囲を整えること」など、普段何気なく行っていることが、病気からの早期回復に役に立っています。簡単にできる入院生活の工夫についてお話ししました。
看護師は、回復を妨げるサインが出ていないかということに注意しながら、少しでも早く元の生活に戻れるように伴走しています。今年度より、「特定行為実践看護師」という、一部の医行為を医師に代わって行える看護師が誕生しました。よりタイムリーな医療ケアの提供を行うことを目標とした、新たな看護師の活動についても、お話ししました。
安静が治療の一環として捉えられていた時代もありますが、現在では、「早期離床」といって、なるべく早く起きる・歩くことの方が、多くの合併症から体を守ることに有効であるとされています。1週間の寝たきりによって筋力は20%低下し、1か月間では88%低下するというデータも出ています。そのため、血圧や脈拍の値が落ち着き、医師から許可が出た後からは、手術の翌日であっても、人工呼吸器を付けた状態であっても、座る・立つ・歩くということを、医療チームで取り組んでいます。看護師と共に行える筋力トレーニングや、体操の一例を示したいと思います。
入院になる理由は様々ですが、免疫力が低下した入院生活の中では、「歯を磨くこと」や「食事をすること」、「ベッド周囲を整えること」など、普段何気なく行っていることが、病気からの早期回復に役に立っています。簡単にできる入院生活の工夫についてお話ししました。
看護師は、回復を妨げるサインが出ていないかということに注意しながら、少しでも早く元の生活に戻れるように伴走しています。今年度より、「特定行為実践看護師」という、一部の医行為を医師に代わって行える看護師が誕生しました。よりタイムリーな医療ケアの提供を行うことを目標とした、新たな看護師の活動についても、お話ししました。
講演3 認知症予防 -自分らしい生活のために-
[講師] 川崎医科大学総合医療センター
看護管理室看護師長 大西 真由美
最近、認知症の情報はメディアにあふれていて、認知症予防に効果のある薬もあと数年で臨床使用できるようになると、テレビの情報番組でも取り上げられていました。このように、科学は進んでいきますが、一つの薬ですべて効く特効薬はまだなく、現状は、いろいろ組み合わせて相乗効果をねらいます。
平成22年の政府のデータでは、65歳以上の7人に1人は認知症、7~8人に1人は軽度認知症(認知症予備軍)との発表がなされています。これが平成37年には5人に1人が認知症になると推測されています。このことからもわかるように、認知症予防は、国を挙げて取り組んでいる事柄です。
タバコを吸う人は、吸わない人に比べて2倍、うつ状態の人は、うつ状態でない人に比べて2倍、散歩を趣味にしていない人は、散歩を趣味にしている人の2倍の認知症発症率です。タバコは、減らすのではなく、完全に止めることが必要です。今更止めてもと諦めなくても大丈夫です。喫煙経験のあるなしではなく、今吸っているかいないかで認知症発症率は変わってくるというデータがあります。運動では、「膝が痛いから外は歩けない」「有酸素運動は良いらしいが、しんどくてできない」という方も、自分にできる生活の中での運動を見つけて、組み合わせていきましょう。 認知症予備軍と呼ばれる軽度認知症者の方の50%は健常者に移行し、50%は認知症者に移行すると言われています。認知症にならないようにと祈るのではなく、認知症予防に効果的なことを、生活の中に積極的に取り入れ、毎日続けて、自分で自分の体を作りましょう。
最近、認知症の情報はメディアにあふれていて、認知症予防に効果のある薬もあと数年で臨床使用できるようになると、テレビの情報番組でも取り上げられていました。このように、科学は進んでいきますが、一つの薬ですべて効く特効薬はまだなく、現状は、いろいろ組み合わせて相乗効果をねらいます。
平成22年の政府のデータでは、65歳以上の7人に1人は認知症、7~8人に1人は軽度認知症(認知症予備軍)との発表がなされています。これが平成37年には5人に1人が認知症になると推測されています。このことからもわかるように、認知症予防は、国を挙げて取り組んでいる事柄です。
認知症は、生活習慣病の一つであるとも言われるようになってきました。毎日の生活の過ごし方で、予防することや進行を遅らせることができます。今回の認知症予防は、科学的根拠が強く実施することが強く推奨されている「禁煙」「抗うつ状態」「運動」の3つ事柄を中心にお話しします。
タバコを吸う人は、吸わない人に比べて2倍、うつ状態の人は、うつ状態でない人に比べて2倍、散歩を趣味にしていない人は、散歩を趣味にしている人の2倍の認知症発症率です。タバコは、減らすのではなく、完全に止めることが必要です。今更止めてもと諦めなくても大丈夫です。喫煙経験のあるなしではなく、今吸っているかいないかで認知症発症率は変わってくるというデータがあります。運動では、「膝が痛いから外は歩けない」「有酸素運動は良いらしいが、しんどくてできない」という方も、自分にできる生活の中での運動を見つけて、組み合わせていきましょう。
大西看護師長の講演様子