ロボット手術というと人型ロボットを想像される方も多いと思いますが、4つのアームを持った工業用ロボットのようのイメージが正しいかと思います。ロボットのアームを患者さんの体内に挿入し、術者は少し離れたコンソールで操作します。モニターは3Dの画面なので奥行きもよくわかります。肉眼でルーペをかけてしているようなシーンをテレビで見かけますが、それよりもさらに細かい血管とか神経を拡大して見ながら手術できるため、少ない出血量で正確な手術を行えるといったことがロボット手術の特長です。手振れがなく、より細かい作業ができるのです。例えると、針の穴に糸を通すのがなかなか難しいところを、ロボット手術であればすっと通せる、そういった感じです。アームを入れるのは外からですが、それが行きつく骨盤はとても狭い空間であり、その狭い空間の中で細かい作業が可能となるのです。患者さんにとっては傷が小さくてすむことや、手術後の身体への負担がより少ないこと、早く日常生活に復帰できるといった、そういうところにメリットが表れてきます。いわゆる❝低侵襲❞ということです。
直腸がんは肛門に近い場所なので、なるべく自然肛門を残したいというご希望が多いのも事実で、できるだけ自然肛門を残すような手術を心がけています。しかし、場合によっては自然肛門を残すために何か月間かの一時的人工肛門が必要な場合もあります。
