医療的処置を行う際、患者さんが安静にかつ痛みのない状態を保つ必要がある場合に、麻酔を行います。
麻酔というと、局所麻酔や全身麻酔という言葉を聞かれたことがあるかと思います。この2つの違いは、簡単に言うと意識がなくなるかどうかです。全身麻酔と局所麻酔のどちらを選択するかは、痛みをとるだけではなく、患者さんの不安状態や安静が取れない状態が処置を行う際リスクとなるかどうかで判断します。
全身麻酔は、吸入麻酔薬や静脈注射薬を投与することで脳に作用し意識が消失する状態となります。一般的に、手術室に入室し手術台に仰向けで寝たのち、心電図、血圧計など必要な機器をつけ、酸素を吸入する鼻と口を覆うマスクをつけた後に、静脈麻酔薬を点滴より投与します。鼻と口を覆うマスクに流す酸素に吸入麻酔薬を混ぜる方法もあり、状況に応じて使い分けます。
全身麻酔を行う前には、身長・体重などの身体測定に加え、心電図や心臓エコー、胸のレントゲン、呼吸機能検査、肺機能検査、血液検査などを行います。高血圧、糖尿病、肥満、喫煙、飲酒などは全身麻酔においてリスクとなるため、心臓・脳・肺・腎臓・肝臓など身体にとって重要な役割を果たしている主要な臓器の働きを確認します。
全身麻酔を受ける前には、食生活や適度な運動、睡眠時間の確保などの生活習慣を整えることが非常に大事になります。
手術を初めて受ける方は、様々な不安をお持ちだと思います。麻酔に対する不安もおありかと思いますが、全身麻酔をする際は、麻酔科医が本人と直接お話し、説明いたしますので、些細なことでも不安に思われていることがありましたら、お気軽にご相談ください。