ここ1年ほどで、肺がん治療が大きく変貌を遂げています。
私たちは肺がんに対し、手術・放射線・殺細胞性抗がん薬・分子標的薬に加え、免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体)を使った免疫療法を駆使して肺がんに戦いを挑んでいます(下図)。

がん細胞に傷害を与える患者さん自身のT細胞上のPD-1が、がん細胞のもつPD-L1を認識するとがんを攻撃しなくなります。そこでPD-1抗体でPD-1とPD-L1の連結をブロックすると、T細胞はまたがん細胞を攻撃することができるようになります。
私たちは肺がんに対し、手術・放射線・殺細胞性抗がん薬・分子標的薬に加え、免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体)を使った免疫療法を駆使して肺がんに戦いを挑んでいます(下図)。

がん細胞に傷害を与える患者さん自身のT細胞上のPD-1が、がん細胞のもつPD-L1を認識するとがんを攻撃しなくなります。そこでPD-1抗体でPD-1とPD-L1の連結をブロックすると、T細胞はまたがん細胞を攻撃することができるようになります。
手術不能あるいは根治的な放射線照射不能の進行肺がんに対し、抗PD-1抗体を組み込んだ薬物療法のめざましい効果が臨床試験のなかで明らかにされてきました。1890年代から行われてきた多くの免疫療法のなかで、抗PD-1抗体は初めてエビデンスを確立した治療といえます。
しかしながら、効果が得られるのは非小細胞肺がん全体の約20%に過ぎず、ブレイクスルーとなった薬剤ではありますが、その治療効果を予測する優れたマーカーはまだ見つかっていません。私たちはどの肺がん患者さんが免疫療法の恩恵を得ることができるのか研究中です。
しかしながら、効果が得られるのは非小細胞肺がん全体の約20%に過ぎず、ブレイクスルーとなった薬剤ではありますが、その治療効果を予測する優れたマーカーはまだ見つかっていません。私たちはどの肺がん患者さんが免疫療法の恩恵を得ることができるのか研究中です。
また、抗PD-1抗体特有の副作用は、これまでの殺細胞性抗がん薬や分子標的薬と異なり、予想もつかない全身の免疫反応を生じることが明らかとなっています。肺障害に代表されるような呼吸器疾患だけではなく、消化器、糖尿病・代謝、膠原病、腎、神経、循環器、血液疾患などあらゆる副作用を念頭に置きながらがんの治療を行い、内科の総合的な力が必要です。
現時点で、保険診療が行えるのは抗PD-1抗体であるニボルマブだけですが、数年の間にあと数種類の薬剤が保険で使えるようになると思います。進行肺がんと今戦っている、またこれから戦っていく患者さんは、これらの免疫療法を治療のどの段階かでは組み込むことが必要となっています。
現時点で、保険診療が行えるのは抗PD-1抗体であるニボルマブだけですが、数年の間にあと数種類の薬剤が保険で使えるようになると思います。進行肺がんと今戦っている、またこれから戦っていく患者さんは、これらの免疫療法を治療のどの段階かでは組み込むことが必要となっています。