手根管症候群は、頸椎症と並んで手指のしびれの二大原因です。
手根管とは、手首のところにある骨や靱帯で囲まれたトンネルのことです。このトンネルを通る神経(正中神経)がここで締め付けられ、手指にしびれなどが生じる病気が手根管症候群です。
糖尿病、透析、関節リウマチ、甲状腺機能低下症、妊娠、肥満などが誘因となります。
症状
しびれは第1~3指と第4指の橈側(母指側)に起こります。睡眠中に手根管内の圧力が高まるため、起床時にしびれが強かったり、夜間に痛みで目が覚めたりします。また、手を使う作業(運転、読書など)でしびれがひどくなり、手を振ることでしびれが軽減します。このような特徴は頸椎症など他の病気にはありません。
時に肘や肩まで痛みが生じるため、頸椎症と間違われることがあります。
診断
ご年配の方では頸椎MRIで頸椎症変化が見られることがあるので、手根管症候群なのに、頸椎症と間違われる恐れがあります。
一方、神経伝導検査(神経を電気刺激してその反応を見る検査)は、手根部での伝導異常を評価できるので、手根管症候群かどうかを診断できます。
治療
保存的治療と手術的治療(整形外科にて手根管を開放する手術)があります。
まずは正しい診断が重要ですので、手指のしびれでお困りの方は、当科にご相談ください。