1.病期の決定
前立腺生検で前立腺がんと診断されたら、CTや骨シンチなどの画像検査を受けて、病気の広がり(病期)を調べます。病期は、A~Dまで分類されます。
病期A:前立腺肥大症で手術を受けたときに偶然発見されるようなもの
病期B:がんが前立腺の被膜内にとどまっているもの
病期C:がんが前立腺の被膜外に広がったもの
病期D:がんがリンパ節や他の臓器に転移したもの
2.治療方針の決定
病期や年齢、合併症の有無、元々のPSA値、生検の結果、そして患者自身の希望などをもとに、治療方針は総合的に決定されます。
前立腺がんの治療法には、一般的に、手術療法、放射線療法、内分泌療法、経過観察などがあります
① 手術療法
手術療法は、膀胱と骨盤底の間にある前立腺を摘出し、膀胱と尿道の端どうしを縫ってつなげる方法です。 以前は、開腹手術が行われていましたが、最近は、より正確にできるロボット手術が主流となっています。
治癒率は、放射線療法と同等ですが、術後の失禁や性機能障害が問題となります。
② 放射腺療法
放射腺療法は、大きく分けて、体外から放射線を当てる外照射と体内から当てる内照射があります。
治療効果は、手術療法と同様です。合併症として、直腸炎や膀胱炎などがあります。また、放射線を当てることによる二次発がんの危険性があります。
③ 内分泌療法
前立腺がん細胞が、男性ホルモンに依存することを利用して、男性ホルモンを遮断することにより、がん細胞の増殖を抑える治療です。長期的には効果がなくなる可能性があること、肥満や骨粗しょう症などになりやすくなることなどが問題となります。
④ 経過観察
前立腺がんの中には、ゆっくり発育するため、治療を必要としないものもあります。定期的な血液検査で経過をみる場合があります。
前立腺がんの治療は選択肢が多く、迷うことがあるかもしれません。担当医とよく話し合うことが重要です。