誰もが経験したことがある腹痛(「はらいた」)。多くは便秘・下痢などの便通異常や蠕動痛・食あたり・腸 炎などで、自然に、あるいは内服薬で改善します。しかし早急に手術が必要な「はらいた」もあり、よくみかけるのは以下の病気です。
1.急性虫垂炎(いわゆる「モーチョー」)
典型的には心窩部から数時間で右下腹部に移動する腹痛で、初期には発熱はあっても微熱程度で嘔気を伴うことが多い病気です。穿孔すると高熱や腹膜刺激症状(腹部が硬くなる、手で押さえたときよりも離した時のほうが痛い、など)を呈し、緊急手術が必要になります。
2.急性胆嚢炎
多くは胆石が原因で右季肋部(肋骨の下あたり)痛、発熱などで発症し、早期の手術が必要となることが多い病気です。
3.腸閉塞
癒着や腸捻転、がんなどが原因で、腹部膨満や嘔吐、ガスや便がでないなどの症状を伴います。腸管の血流が悪くなったり壊死や穿孔をきたすと緊急手術が必要になります。
4.消化管穿孔
胃潰瘍や十二指腸潰瘍、大腸憩室の穿孔により突然の強い腹痛が発症します。腹膜炎をきたし、治療が遅れると短時間で致命的になるため、緊急で穿孔部の閉鎖や人工肛門造設が必要となることがあります。
これらの多くは病院を受診し、CTや超音波検査などで診断されます。手術といっても最近は腹腔鏡を使って小さな創で行えることも多くなっています。おなかを抱えないと動けないような急激で強い腹痛や、数時間以上持続しおなかが硬くなってきた場合などは、我慢せず、医療機関を受診してください。