広がる肝がん治療の選択肢

広がる肝がん治療の選択肢

肝がんは、本邦のがん死亡者数で第5位の予後不良の疾患です。肝がんには、肝細胞がん、肝内胆管がんとその両方の性質をもった混合型肝がんがありますが、9割以上が肝細胞がんですので、一般に肝がんというと肝細胞がんのことを示します。

肝がんの治療には、主に肝切除、ラジオ波焼灼療法、肝動脈化学塞栓療法、放射線療法、全身薬物療法があり、以前に比べて治療の選択肢が増え、患者負担を減らしながら治療効果を高めることができるようになっています。治療法の選択は、がんの進行度と肝臓の余力を考慮して決めていきます。特にラジオ波焼灼療法は、3センチ以下の大きさの肝がんに対して患者負担が小さく根治が望める治療です。ラジオ波で治療するためには、がんを小さなうちに見つけることが重要です。

肝がんは、かなり進行しないと症状はでませんので、スクリーニング検査で早期発見することが予後を改善するために最も重要です。原因はなんであっても慢性的な肝機能異常がある方や糖尿病の方は、そうでない方に比べると肝がんの発生リスクが高いです。そのような方は、最低でも年に2回は、腹部超音波検査などの肝がんのスクリーニング検査を受け、肝がんの早期発見につとめていただきたいと思います。

 

 

執筆者

内科 部長  白羽 英則
専門医・指導医 日本内科学会認定内科医・総合内科専門医・指導医/日本消化器病学会認定消化器病専門医・指導医/日本肝臓学会認定肝臓専門医・指導医/日本がん治療認定医機構認定癌治療認定医
専門領域・得意分野 肝癌(ラジオ波焼灼療法・化学療法)、肝疾患、消化器疾患

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