食道がんとは-その診断と治療について-

食道がんとは-その診断と治療について-

   食道がんの発症の割合は胃がんや大腸がんに比べると少ないですが、早期のものも含めると日本では年間2万人ほどの方が発症し、1万人ほどの方が亡くなられており、決して無視できるような頻度ではありません。早期発見が大切といわれていますが、食道がんは早期には症状がでにくいのです。高齢の男性に多いといわれていますが、40代や女性の方もおられます。長期間の飲酒や喫煙はリスクを高めますし、遺伝的なものもあります。  症状がある場合は、食事が通りにくいとか食べにくい、食べたときにしみるといった症状が挙げられます。食道はのどから胸の中を通って胃までつながっている長い管なので、場所によって症状の出方に違いがあり、頸部に食道がんができると、のどが痛い、ひっかかるとか声が出にくいということで受診される方も多くいらっしゃいます。  治療は、がんの状態によって変わってきますが、早期のものですと内視鏡治療といって、麻酔をかけて口から入れた胃カメラで焼き切ります。これは非常に安全ですし、入院期間も短くてすみます。症状が出るくらいの食道がんですと、胃カメラでの切除は難しくなってくるので、そうなると手術をお勧めしています。食道と周りのリンパ節をとるという手術になります。切除した食道の代わりに、胃を胸あるいは頸部まで持ち上げて胃管を作ります。胃が使えない場合は小腸や大腸を使う場合もあります。  治療後の経過は、がんが初期の状態ですと、普段の生活に戻れるのも早いですが、転移があったり発見が遅かったりする状態ですと、手術ができなかったり、抗がん剤や放射線を組み合わせることもありますので、治療期間は長くなります。  症状がないなかで食道がんを見つけるには胃カメラをお勧めしています。検診や人間ドック等で胃がんを調べていたら見つかったという場合が一番早期です。バリウム検査も良いのですが、胃カメラの方が早期で発見できると考えています。

執筆者

外科 部長  山辻 知樹
専門医・指導医 日本外科学会外科専門医・認定医・指導医/日本消化器外科学会消化器外科専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医/日本食道学会食道外科専門医・食道科認定医・評議員/日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医・指導医/日本がん治療認定医機構がん治療認定医/日本癌治療学会代議員/日本臨床栄養代謝学会代議員・学術評議員/日本臨床外科学会評議員/医学博士
専門領域・得意分野 消化器外科/食道外科/がん化学療法

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