胃がん:予防・早期診断・低侵襲治療の進歩

胃がん:予防・早期診断・低侵襲治療の進歩

日本国内で年間約5万人の方が胃がんで死亡しています。胃がんは日本人に多いがんと言われ、その原因として塩分の過剰摂取といった日本人の食生活が関係すると考えられてきました。しかし近年、ヘリコバクター・ピロリ(いわゆるピロリ菌)という細菌が胃の中に住み着き(感染し)胃がんの原因になっていることが分かってきました。
ピロリ菌による感染は子供の時に起こりやすく、日本人の感染者は3500万人に上るとみられています。衛生環境がよくなかった時代に多く感染し、50歳代の日本人では5割以上、70歳代では8割以上の人が感染していると言われています。一方で衛生環境が改善した近年、若年者の感染者は減少しています。ピロリ菌に感染すると胃は炎症を起こし、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因になります。長期間慢性炎症が続くと胃粘膜は委縮し“萎縮性胃炎”の状態になります。この状態が胃がんの発生に関係していることがわかり、ピロリ菌感染を治療(除菌)することで胃がんの発生を予防(一次予防)することができると考えられてきました。
 
 
従来、ピロリ菌の除菌は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍など、限られた病状でしか公的医療保険の対象になっていませんでしたが、2013年2月からヘリコバクター・ピロリ感染胃炎(ピロリ胃炎)に対する除菌治療も保険適用となり、ピロリ菌を除菌して胃がんを予防する時代が幕を開けました。ピロリ菌に感染しているかどうかを調べ除菌するためには、内視鏡検査を受け胃炎であることを診断する必要があります。内視鏡はちょっと・・という方がおられるかもしれませんが、内視鏡により胃がんを早期発見することが胃がんを予防(二次予防)する主役であり、早期診断ができて初めて低侵襲な治療が可能となります。
 

執筆者

外科 副部長  羽井佐 実
専門医・指導医 日本外科学会認定医・指導医・外科専門医/日本消化器外科学会認定医・消化器外科専門医・指導医・消化器がん外科治療認定医/日本救急医学会認定ICLSコースインストラクター・コースディレクター/日本がん治療認定医機構暫定教育医・がん治療認定医/日本食道学会評議員・食道科認定医/日本外科感染症学会評議員・外科周術期感染管理教育医・認定医/ICD制度協議会認定インフェクションコントロールドクター/日本腹部救急医学会評議員/日本臨床外科学会評議員
専門領域・得意分野 消化器外科/がん治療/腹部救急外科/外科感染症/緩和医療

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