高齢者の病気、慢性硬膜下血腫

更新日:2023/02/07

高齢者の病気、慢性硬膜下血腫

   一般の方にとってはあまり聞きなれない病名ではありますが、私たち脳神経外科の手術患者さんの中では「慢性硬膜下血腫」が最多である疾患です。
 特に高齢の方に多く、1ヶ月ほど前に頭を打ったことのある方が、次第にふらつく、手足が動きづらくなる、呆けたようになる、動けなくなるなどといった症状を訴えて病院へ来られます。頭の撮影を行ってみると、頭蓋骨と脳の間の隙間に血液が溜まっているのが確認され、局所麻酔で頭部に10円玉くらいの穴を開け、管で血を排出するとたちまち症状が改善するという病気です。脳神経外科医にとっては最も患者さんから感謝される手術の一つで、1週間程度で完治することが多いです。
 最近では、足元がおぼつかない高齢の方が、数週間前に転倒して、「なんだか最近ボケが進んだな」とか「元気が無くなったな」という状態をそのままにされ、いよいよ意識が悪化したり、寝たきりのようになったりしてから病院に運ばれてみたらこの病気だった、などということも少なくありません。皆さんも、頭を打った後、何かおかしいなと感じるようなことがあれば、一度脳神経外科を受診されても良いかと思います。

執筆者

脳神経外科 部長  小野 成紀
専門医・指導医 日本脳神経外科学会専門医/日本神経内視鏡学会技術認定医/日本脳卒中学会認定脳卒中専門医・指導医/日本小児神経外科学会認定医/卒後臨床研修指導医
専門領域・得意分野 脳血管障害/頭蓋底腫瘍/小児脳神経外科/神経内視鏡

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