人類の産業活動に伴ってプラスチックが製造され、それが汎用されるようになって半世紀、それらは自然界で分解されないまま残留し、1950年以降環境問題として取り上げられるようになりました。そして多くのプラスチック製品が自然界で粒子化し、5㎜以下のマイクロプラスチック(MP)となって世界中に散らばっていると報告されるようになったのが2000年代。いまやMPは深海からエベレスト山頂、さらには脳内に至るまで「聖域はない」と言われる程、世界中に広がっています。
2024年にはMPが点滴の中にも混在していることが発見され、同じ年には動脈硬化や脳内にMPが検出され、病態を悪化させている可能性が米国の一流医学誌で報告されました。これを機にMPによる健康障害に関する報道が国内外で一気に加速しています。
実はみなさんにも他人事ではなく、人類は毎日平均1g程度のマイクロプラスチックを摂取しています。2025年はMP対策にとって転換の年となりました。国連での「国際マイクロプラスチック条約」が施行され、MPの排出規制に取り組む活動が始まったのです。
人体に悪影響があるのではないかと論争された人工物は枚挙にいとまがありません。窒素酸化物、農薬、食品添加物、環境ホルモン、残留塩素、人工甘味料、グルタミン酸、携帯電話の電磁波、環境中の抗生物質、スマホ依存、SNSトラブル、毒親や親ガチャ、マチアプ…などなど、真に健康障害を引き起こす物質については当然規制の対象になってきました。現時点ではMPの人体への影響については全く害がない訳ではないものの、どの程度注意が必要かはこれから科学的根拠をもって整理された上で、正確な情報がみなさんのお耳に届くでしょう。それまでは真偽不明の危機感を煽るような報道には目を細めて冷静に対応しましょう。なお欧州をはじめすでに身近なプラスチック製品を見直して減らそうという動きは 始まっています。人類の生活はプラスチックまみれですが、環境保護の観点からもプラスチックの過度な消費は避けておくのが良さそうです。
より詳しく知りたい方 →[Nat Med 2025;31:2873]
















