耳鼻咽喉科疾患では耳鳴りにより困られている方が多くいらっしゃいます。原因のひとつとして、加齢による難聴があり、脳に音が届かなくなり脳が興奮するため耳鳴りが発生します。まずは補聴器をつけ脳にしっかり音を入れると、脳が楽になり耳鳴りがなくなります。それでも治らない、補聴器をつけるのには抵抗がある、という場合は漢方薬を使用します。
漢方は室町時代から日本でも耳鼻咽喉科領域で使用されています。 耳鳴りにはまず、牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)、釣藤散(ちょうとうさん)という漢方を使用します。効果がなければ抑肝散(よくかんさん)というストレスを緩和する漢方、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)を使用します。1日3回食前もしくは食間に飲みます。
効き目は個人差がありますが、65%以上の方に効果があるといわれています。耳鳴りの治療薬に効果がない場合に一緒に漢方を処方します。
喉の治療については、アフターコロナで咳が続く方などには、痰がらみの咳には柴朴湯(さいぼくとう)、空咳には麦門冬湯(ばくもんどうとう)。喉が詰まるなど違和感がある方には半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)を処方します。
耳鳴りは、突発性もありますが、加齢性の場合は徐々に聞き取り能力が落ち、聞き返すことが増えてくることが前兆です。気になることがありましたら、早目の受診をおすすめします。