よくわかる脳卒中のお話・・・その4

更新日:2017/03/21

脳出血とは

脳出血とは、脳内の血管が破れて出血することです。
その原因および出血する場所によって、脳内出血(単に脳出血と呼ぶこともあります)と、くも
下出血に分類されます。

脳内出血とは脳の細い血管が裂けて、脳の組織の中に直接出血することです。
出血した血液は固まって、血腫と呼ばれます。この血腫は直接脳の細胞を破壊したり、周囲の脳を圧迫したりして、その部分の脳の働きを傷害します。
出血した場所や血腫の大きさによって、さまざまな症状が出現します。
症状だけでは脳梗塞と区別がつかないこともあります。
脳内出血は、クモ膜下出血ほど生命の危険性は高くはありませんが、半身麻痺や言語障害などの重度の後遺症が残ることが多く、社会復帰を困難にさせ、日常生活でも介助が必要とされる場合が多いことが大きな問題点です。
 


脳出血の原因-高血圧性脳内出血
出血の原因は、高血圧あるいは動脈硬化によって、もろくなった血管が裂けることが最も多いとされています。これは高血圧性脳内出血と呼ばれています。以前は生命の危機にかかわるような大出血が多かったのですが、最近では出血そのものの数が減少している中で、比較的小さな出血が増加しているようです。
 
 
脳出血の予防-普段からの血圧管理
脳出血の予防には、血圧の管理が最も重要です。
冬場は寒さのため血圧が上昇します。そのため、普段から食事の塩分を控えめにして、内服薬などで血圧をコント
ロールしておかないと、極端に高くなることがあります。血圧の上昇と寒さによるストレスが、脳の血圧に作用して脳出血の引き金になるのです。高血圧をもっている人は、冬場の寒さに十分気をつけてください。

生活面においては、厚着をするよりも部屋を暖め乾燥を防ぎ、外出の際は風を防ぐ衣類を工夫しましょう。早朝の散歩や運動はかえって危険ですので、日中温かくなってから適度の運動を心がけてください。
最近は暖房器具が普及し、部屋の気密性もよくなっていますが、夜中のトイレや入浴前の脱衣場は冷えていることも多いので、気をつける必要があります。浴室暖房を設置するのもひとつのアイデアです。
外でお酒を飲んだ後も、寒い戸外に出たときに血圧が急に上昇するので気をつけてください。




次回は、くも膜下出血について、詳しくご説明します。

 

執筆者

脳卒中科 副部長  井上 剛
専門医・指導医 日本内科学会認定内科医/日本脳卒中学会認定脳卒中専門医/脳血栓回収療法実施医
専門領域・得意分野 神経疾患全般/脳卒中全般

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