よくわかる脳卒中のお話・・・その20

更新日:2018/03/26

血栓溶解療法

血栓溶解療法の過程
発症から4.5時間以内の脳梗塞に対する血栓溶解療法の有用性が科学的に証明され、早期治療の必要性が再認識されています。

今回は「血栓溶解療法」についてお話します。

まず、脳梗塞の症状について再度確認しておきましょう。急に意識を失って倒れる患者さんは全体の2~3割程度であり、その方たち以外は運動、言語、感覚、視野などの障害が急に出現します。

血栓溶解療法は、脳梗塞の治療において劇的に効果を現します。

血栓溶解療法とは、血管閉塞の原因となった血栓を溶解する薬剤を静脈から投薬し、閉塞血管を再開通させる治療法です。

また、極細のマイクロカテーテルを大腿動脈から閉塞した脳血管まで送り込み、そこから血栓溶解剤を局所的に動脈投与したり、血栓を絡めと取ったり吸い取ったりする方法もあります。

実際の治療のプロセスとしては、まず症状から脳卒中が疑われる場合は、速やかにCT検査やMRI検査を行なって出血の有無を確認し、脳梗塞である可能性が高いと判断された際は直ちに脳血管造影を行ないます。

この際、閉塞している血管の部位を確認し、治療が有効と判断した場合に血栓溶解療法を開始します。


血栓溶解療法の合併症
血栓溶解療法の問題としては、治療後の脳出血が挙げられます。これは、完全に梗塞に陥ってしまった脳に血流を再開させることで血管が裂けて脳出血が起こり、重篤なダメージを与えることです。

しかしながらこの治療は、原則的に脳卒中の診療部の完備された病院で、専門医の管理下で行なわれます。施行中に症状を観察しながら薬剤の量をコントロールする、治療後に血圧をコントロールするなど、厳密な管理の下に治療は行われています。このような細心の配慮で、合併症を最小限に抑えることが可能です。大多数の方が、発症後4.5時間以内(長くても8時間以内)に速やかに治療が行なわれた場合、劇的に良好に回復しています。

危険因子(心房細動、心臓弁膜症、心筋梗塞、心筋症などの心疾患)をお持ちの方は、専門の医療機関を事前に調べておきましょう。かかりつけの医師に、発作が起きたときの対処法を相談しておくことも大切です。


次回は、
頸動脈内膜剥離術について、詳しくご説明します。

執筆者

脳卒中科 副部長  井上 剛
専門医・指導医 日本内科学会認定内科医/日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
専門領域・得意分野 神経疾患全般/脳卒中全般

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