講演1 インフルエンザの予防
[講師]川崎医科大学総合医療センター 副院長・内科部長
川崎医科大学 総合内科学1教授 沖本 二郎
川崎医科大学 総合内科学1教授 沖本 二郎
インフルエンザを予防接種以外で防ぐ方法について考えてみました。
大正8~9年、スペイン風邪の時、世界的に大流行し、日本人の死者数は388,727人とされています。
大正9年、内務省衛生局長名で「予防心得の標語」」が配付されました。
1.近寄るなー咳する人に
2.鼻口を覆えー他の為にも、身のためにも
3.予防注射をー転ばぬ先にも
4.含嗽せよー朝な夕なに
100年前と変わりませんね。ということはこれが一番大切なんでしょうね。
当時からマスクとうがいの大切さは強調されていましたが、本当に効くのでしょうか。
○マスクについて
有効です。特に外出時は必要です。
○うがいについて
水、紅茶のうがいは有効です。外出から帰った時など1日3回以上、コップ1杯以上の量で行いましょう。
○予防に有効な食べ物は、ヨーグルト、ヤクルト、ココア、みそ汁と言われています。
○予防に有効な薬剤は、ビタミンCや葛根湯もいいようです。
○受験や結婚式など、どうしても予防したい場合は、タミフルの予防内服をおすすめします。
内服中は、ほぼ発症が抑えられます。
沖本教授の講演様子
※当院の内科はこちら
[講師]川崎医科大学総合医療センター 内科副部長
川崎医科大学 総合内科学1准教授 宮下 修行
免疫応答(*1)細胞の機能に関しては、マクロファージ、樹状細胞など抗原提示(*2)能や、単球、マクロファージ、好中球の遊走(*3)、接着、貪食(*4)能は、比較的加齢の影響を受けにくいと考えられています。
*1…抗原の侵入に対して、それを排除しようとする反応
高齢者の肺炎の原因は何か?
その発症の仕組みは若年者と異なり複雑ですが、わが国での主な原因は誤嚥と考えられています。
大脳基底核の不顕性脳梗塞によってドパミン作動性神経の機能低下を生じ、これに連なる迷走神経知覚枝の機能が低下するため、咽頭や気管支粘膜の刺激を受けた迷走神経知覚枝からサブスタンスP(*6)の遊離・放出が減少します。このため、生体防御機構の活性化による高齢者肺炎の予防には、サブスタンスP濃度を増加させて嚥下反射・咳反射を正常化する作用が要求されます。さらに口腔ケアや腸管蠕動運動の改善、栄養状態の向上、ワクチンなどの総合戦略が重要であることは言うまでもありません。
*6…正常に食べ物を飲み込んだり、咳をしたりできるように神経に働きかける物質
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講演2 肺炎の予防
[講師]川崎医科大学総合医療センター 内科副部長
川崎医科大学 総合内科学1准教授 宮下 修行
~肺炎は死因の第3位です~
肺炎は日本人の死亡原因の第3位であり、肺炎死亡の90%以上は65歳以上の高齢者で占められています。
高齢者は、自然免疫、獲得免疫のいずれも弱まってきていて、食事や運動なども加齢に伴う免疫反応の低下に影響します。
高齢者は、自然免疫、獲得免疫のいずれも弱まってきていて、食事や運動なども加齢に伴う免疫反応の低下に影響します。
免疫応答(*1)細胞の機能に関しては、マクロファージ、樹状細胞など抗原提示(*2)能や、単球、マクロファージ、好中球の遊走(*3)、接着、貪食(*4)能は、比較的加齢の影響を受けにくいと考えられています。
液性免疫(*5)に関しては、抗体の親和性の低下など機能の低下があるとされています。また高齢者では、循環するT細胞の数はそれほど減少しませんが、T細胞が調節する免疫応答は弱まってくるといわれています。
*1…抗原の侵入に対して、それを排除しようとする反応
*2…効率よく攻撃できるように、抗原に目印をつけること
*3…移動すること
*4…摂取して分解・処理すること
*5…抗体を作って攻撃すること
*3…移動すること
*4…摂取して分解・処理すること
*5…抗体を作って攻撃すること
高齢者の肺炎の原因は何か?
その発症の仕組みは若年者と異なり複雑ですが、わが国での主な原因は誤嚥と考えられています。
大脳基底核の不顕性脳梗塞によってドパミン作動性神経の機能低下を生じ、これに連なる迷走神経知覚枝の機能が低下するため、咽頭や気管支粘膜の刺激を受けた迷走神経知覚枝からサブスタンスP(*6)の遊離・放出が減少します。このため、生体防御機構の活性化による高齢者肺炎の予防には、サブスタンスP濃度を増加させて嚥下反射・咳反射を正常化する作用が要求されます。さらに口腔ケアや腸管蠕動運動の改善、栄養状態の向上、ワクチンなどの総合戦略が重要であることは言うまでもありません。
*6…正常に食べ物を飲み込んだり、咳をしたりできるように神経に働きかける物質
宮下准教授の講演様子
この病気には急性増悪と言って、急に病状が悪くなることがあります。
それは冬季に多く、原因として一番多いのが呼吸器感染症で、風邪を含めたウイルス感染、細菌感染です。
原准教授の講演様子講演3 COPD(たばこ病)の増悪予防
[講師] 川崎医科大学総合医療センター 内科副部長
川崎医科大学 総合内科学1特任准教授 原 宏紀
川崎医科大学 総合内科学1特任准教授 原 宏紀
皆さんはCOPDという言葉をご存知でしょうか?
英語の Chronic Obstructive Pulmonary Diseaseの頭文字をとったもので、日本語で言うと慢性閉塞性肺疾患となりますが、長くて堅苦しいので、最近はCOPDと言う言葉が一般的にも使われるようになってきました。
タバコの煙による肺の障害で、咳や痰、息切れを起こす病気で肺の生活習慣病とも言われています。高齢者に多いのですが、息切れは年齢のせいだと思い、病気に気が付いていない人や治療を受けていない人が全国に530万人くらいいて、日本人の20人に一人くらいがCOPDだとも言われています。
そしてWHOの調査による世界の死亡原因のランキングでは1990年には第6位でしたが、30年後の2020年には第3位になると予測されています。日本でも高齢化が進むことから、ますます増えることが予想されます。
英語の Chronic Obstructive Pulmonary Diseaseの頭文字をとったもので、日本語で言うと慢性閉塞性肺疾患となりますが、長くて堅苦しいので、最近はCOPDと言う言葉が一般的にも使われるようになってきました。
タバコの煙による肺の障害で、咳や痰、息切れを起こす病気で肺の生活習慣病とも言われています。高齢者に多いのですが、息切れは年齢のせいだと思い、病気に気が付いていない人や治療を受けていない人が全国に530万人くらいいて、日本人の20人に一人くらいがCOPDだとも言われています。
そしてWHOの調査による世界の死亡原因のランキングでは1990年には第6位でしたが、30年後の2020年には第3位になると予測されています。日本でも高齢化が進むことから、ますます増えることが予想されます。
症状としては初めのうちは咳、痰、階段や坂道での息切れですが、次第に同世代の人と同じペースで歩くことが できなくなり、症状が進むと平地でも少し歩くと苦しくなって休まないといけなくなります。もっと重症になると、食事をしたり会話をするだけでも息切れが起こり、外出できなくなり、ついには呼吸困難のために寝たきりになってしまうこともあります。
この病気には急性増悪と言って、急に病状が悪くなることがあります。
それは冬季に多く、原因として一番多いのが呼吸器感染症で、風邪を含めたウイルス感染、細菌感染です。
COPD自己管理をすることによって、快適な生活、元気を保つことができますので、かかりつけ医、または専門医にご相談ください。