よくわかる脳卒中のお話・・・その9

骨の変形などによるしびれ

日常生活で「手足のしびれ」という言葉は、二つの意味を含んでいます。ひとつは「よくわかる脳卒中のお話その7」でお話した「(手足の)麻痺」という意味で、もうひとつは「皮膚を触っても鈍い感じがする」や「手足がジンジン、ピリピリする」というように皮膚の感覚がおかしくなるという意味です。

ここでは手足のしびれは手足の感覚の異常を指すことにします。

私たち脳卒中科の外来には手足の痺れを訴える患者さんが多く来られます。

レントゲン写真や頭部CT/MRI検査などを行なうと、しびれの原因は、頸や腰の骨の変形で起こる脊椎症や椎間板ヘルニアのように背骨に異常がある場合や、糖尿病の患者さんに見られるような、手足の神経そのものに異常がある場合も多くあります。

神経を圧迫している背骨をコルセットで整えたり、血糖を低下させる治療をすると、しびれが和らぐことがあります。徐々に手足の痺れが起こってくる場合は、一度整形外科や神経内科を受診することをお勧めします。

脳卒中によるしびれ

一方、急に半身の麻痺を伴って手足のしびれが起こる場合は、脳卒中の可能性があります。

脳卒中が原因で手足のしびれがある患者さんは、日が経つに連れて症状が軽快することが多いのですが、まれに後遺症として手足のしびれが残る患者さんもおられます。

外見は普通の人と同様に見えますが、実は本人にしかわからない手足の痺れを苦痛に感じている人も少なくありません。薬の服用で軽減することも多いですが、なかなか根治というわけにはいきません。

このように、手足のしびれはさまざまな原因で起こり、内科、整形外科、神経内科、脳卒中科と多岐に専門が分かれます。治療でよくなる病気もあるので、一度診察を受けてみられることをお勧めします。


次回は、頭痛 ①機能性頭痛について、詳しくご説明します。

執筆者

脳卒中科 副部長  井上 剛
専門医・指導医 日本内科学会認定内科医/日本脳卒中学会認定脳卒中専門医/脳血栓回収療法実施医
専門領域・得意分野 神経疾患全般/脳卒中全般

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