昨年亡くなられた桂歌丸さんが闘病されていた病気のことをご存じでしょうか?酸素を吸入しながら苦しそうな息づかい。病気の名前は慢性閉塞性肺疾患(COPD)。俳優の江波杏子さん、宇津井健さんもこの病気で亡くなられています。主な原因はタバコです。この慢性閉塞性肺疾患は2030年には世界の死亡原因の第3位になると予想されています。しかしこの病気、一般の方にはあまり知られていません。我が国での認知度は低く、なんと30%にも達していません。
「慢性閉塞性肺疾患」この名前を分解しますと、慢性、閉塞性、肺、疾患と4つの言葉に分けられます。慢性、肺、疾患という言葉は理解しやすいのですが、わかりにくいのは“閉塞性”という言葉ではないかと思います。呼吸は息を吸って酸素を取り込んで、息を吐く時に体に溜まった炭酸ガスを排出します。閉塞性とは呼吸のうち息を吐くことが難しくなることを意味します。つまり長年に亘りタバコを吸うことで、息が吐けなくなる肺の病気のことなのです。息が吐けなくなると、吐ききれなかった空気が肺内に残ってしまいます。進行すると息を吸うこともできなくなってしまいます。
症状は咳、痰、息切れです。60歳以降に発症してゆっくり進行することが多く、発症初期には年のせい?と思って受診されないことがほとんどです(この病気が知られていないことも大きな要因だと思います)。多くの方は症状が顕著になってから、つまりかなり進行した状態で診断されることになります。早期から治療をうけると症状が軽減し、進行を遅らせることが可能です。タバコを吸っていたことがあり、最近、痰、息切れが気になる方は、一度この機会に呼吸器内科にご相談されてみてはいかがでしょうか?