麻疹(はしか)は重い病気です~ワクチンでの予防が何より大切

更新日:2026/04/15

麻疹(はしか)は重い病気です~ワクチンでの予防が何より大切

1.「排除」認定後も見られる国内流行
 麻疹は現在も世界的に増加しており、日本でも輸入例を契機とした流行が繰り返されています。世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局は2015年3月、日本が麻疹の「排除(Elimination)」状態にあることを認定しました。排除状態とは、その地域に持続的な感染がみられない状態を指します。しかし、世界各地で麻疹の流行が続いており、海外渡航者や日本への旅行者の患者がきっかけとなり、排除達成後も国内での感染拡大事例が頻発しています。
 近年は国際的な人の往来の回復に伴い、輸入症例の増加とそれに続く国内での二次感染が報告されています。また、若年成人を中心に、未接種または接種回数が不十分な人における発症が目立っており、集団発生の原因となっています。さらに、医療機関内での感染拡大(院内感染)も問題となっており、早期診断と適切な感染対策の重要性が改めて指摘されています。

※日本感染症学会 「緊急注意喚起 麻しん(はしか)が世界・国内で増加しています」(20263月)https://www.kansensho.or.jp/jaid_measles_warning/jaid_measles_warning-2.html         


            

2.病気の重さと強い感染力
 麻疹は、時に命にもかかわる重い病気です。ウイルスに感染して約10日後に、発熱や咳、鼻水といった風邪のような症状が現れます。23日熱が続いた後、39℃以上の高熱と発疹が出現します。肺炎、中耳炎を合併しやすく、麻疹患者1,000人に1人の割合で脳炎を合併します。死亡する割合は、先進国であっても1,000人に1人とされています。
 また、麻疹ウイルスの感染力は非常に強く、空気感染、飛沫感染、接触感染と様々な経路でヒトからヒトに感染します。免疫を持っていない人の体内に麻疹ウイルスが侵入すると、ほぼ100%が発症します。この極めて強い感染力のため、1例の発生からでも医療機関や学校などで大規模な集団感染に発展する可能性があります。

※厚生労働省 「麻しんについて」
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/


3.ワクチンによる予防が大切です
  
麻疹に対しては「ワクチン」という有効な予防手段があります。麻疹ワクチン(現在わが国でおもに接種されているのは、麻疹風疹混合(MR)ワクチン)を接種すると、95%以上の人で免疫を獲得することができます。
 ワクチンを2回接種することで、1回目の接種で免疫が付かなかった人にも免疫をつけることができます。また、接種後年数が経過して免疫が低下してきた人に対して2回目の接種をすることで免疫を増強させる効果があります。したがって、2回の接種を済ませておくことが、予防のために最も大切です。
 日本では2006年度から、1歳児と小学校入学前1年間の幼児に対して、2回の定期接種制度が始まりました。定期接種の対象年齢(1期:1歳以上2歳未満、2期:小学校入学前1年間)を過ぎると任意接種の扱いになりますが、未接種の人や接種回数が不足している人には接種をお勧めします。麻疹排除状態を維持するためには、高いワクチン接種率(95%以上)の維持が不可欠です。
 特に、海外渡航を予定している方や医療従事者、集団生活を行う方は、接種歴の確認と2回接種の完了が重要です。
 また、発熱や発疹がみられた場合には、事前に医療機関へ連絡のうえ受診するなど、感染拡大防止への配慮が求められます。

※日本小児科学会 「2026 年における麻疹患者数増加に関する注意喚起」(20264月)https://www.jpeds.or.jp/general/prevention/post-156349.html

執筆者

小児科 特任部長  中野 貴司
専門医・指導医 日本小児科学会小児科専門医/日本感染症学会専門医・指導医/ICD制度協議会認定インフェクションコントロールドクター(ICD)/国際渡航医学会認定資格/臨床研修指導医
専門領域・得意分野 小児科、感染症、予防接種、国際保健

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