女性特有のがんの中で一番多く発症しているのが乳がんです。約30年前から常に第1位で最近のデータでは年間に10万人を超えているといわれています(女性9人に1人)。また死亡数は大腸がん、肺がん、膵がんについで第4位で年間約15,000人の患者さんが乳がんで亡くなっています。ただ年齢別の死亡数では40~60歳代、いわゆる壮年期では乳がんでの死亡数が第1位であり、子育て、仕事などにおいて大変な時期に命を落とすということになります。
死亡数を減少させるためには1.乳がんの予防、2.早期発見(乳がん検診)、3.治療(新規抗がん剤)の開発が挙げられます。乳がんは、複数の遺伝子に傷がついてがん化しますが、さらに女性ホルモンであるエストロゲンが発がんと増殖に関わっています。また食生活、環境要因も発がんリスクに影響を与えることが明らかになってきました。
乳がんを予防するための疫学調査では罹患リスクを上げるものとしてはアルコール、喫煙(受動喫煙を含む)、肥満、糖尿病、夜間勤務、乳がん家族歴といったものがあります。特にアルコール、肥満は確実にリスクを上げるといわれています。逆にリスクを下げるものとしては、大豆、イソフラボンの摂取、乳製品、出産・授乳、運動などが挙げられます。検診による早期発見・早期治療が大切なのはもちろんですが、生活習慣を見直し、週に1時間でも2時間でもウォーキングでもいいから運動することが乳がんの予防につながります。家族歴以外の要因は自身で頑張ればリスクを下げることができるので頑張りましょう。