女性特有のがんの中で一番多く発症しているのが乳がんで、死亡数は大腸がん、肺がんに続いて5番目ですが、最近のデータでは年間に10万人を超える方が発症しているといわれています(女性9人に1人)。
乳がんは、複数の遺伝子に傷がついてがん化しますが、さらに女性ホルモンであるエストロゲンが発がんと増殖に関わっているといわれています。発見同期は自分でしこりに気がついて受診するケースが一番多く、他には痛みや血性の乳汁が出るといった症状で受診されることもあります。乳がん手術症例の約半数の人は自覚症状で発見され、検診で見つかるのが約1/3です。
乳がん検診は40歳から2年に1回受けることが推奨されています。マンモグラフィが標準的な検査法ですが、そこで異常があれば精密検査をとして超音波検査、さらに針をさして組織をとる検査(針生検)を行うこともあります。
手術療法に関してはがんの大きさが3cm以下であれば乳房温存手術が可能です。3cm以上の大きながんが見つかった場合でも手術前に抗がん剤を投与して小さくしてから乳房温存手術を行うことも可能です。また、乳房全摘の場合は、患者さんの希望があれば同時に乳房再建術を行うこともあります。手術以外にも抗がん剤とか免疫療法など治療法は多様化してきていますが、それとともに生存率も上がっています。
乳がんの罹患リスクを上げるものとしてはアルコール、喫煙(受動喫煙を含む)、閉経後の肥満、糖尿病といったものがあります。逆にリスクを下げるものとしては、大豆とかイソフラボン、運動が挙げられます。検診による早期発見・早期治療が大切なのはもちろんですが、生活習慣を見直し、週に1時間でも2時間でもウォーキングでもいいから運動することが乳がん予防につながります。