脳動脈瘤について

更新日:2022/11/09

脳動脈瘤について

   脳動脈瘤とは、脳の血管の主に枝分かれする部分にできる「瘤(こぶ)」のことです。血管の壁が薄くなって膨らんでいくといった病気です。膨らんで大きくなればなるほど破裂する可能性が高くなっていき、破裂すると重症脳卒中の一つであるくも膜下出血を発症します。
 その時の出血の量にもよりますが、軽い出血では突然激しい頭痛を起こして嘔吐するといった症状が出ます。大量に出血すると意識がなくなります。基本的には脳動脈瘤ができてもほとんど無症状で経過することが多く、破れるまでは症状が出ないというのが一つの特徴です。ある程度の大きさになって巨大動脈瘤となり脳や神経を圧迫するようになれば症状が出ることもありますが、多くは破れてから発症します。気づかないうちに進行するのです。
 脳動脈瘤は高齢の方に多いですが、40~50代の方にもいらっしゃいますし、基本的には誰でもなりうる病気です。くも膜下出血の既往のある方がご家族の近しい方におられるなど、遺伝的なものも少なからずあるということは報告されています。また、喫煙者、高血圧の方はできた脳動脈瘤が破れやすいといわれています。
 脳動脈瘤の治療は、開頭して脳動脈瘤の根元を金属のクリップで挟んで血液が入らなくしてしまうというのが昔からある治療で、現在も行われています。もう一つはカテーテル手術といって、手や足の血管から頭の中の血管までカテーテルを進めて動脈瘤に中詰めをして出血を予防するといった治療です。最近ではカテーテル手術の方が若干多くなってきていて、当院では8割方がカテーテル手術です。脳を直接触るわけではないので、身体にかかる負担が小さいのがメリットです。
 予防のために日ごろから気をつけていただきたいのは高血圧と喫煙習慣です。脳卒中一般にいえますが、高血圧の治療と禁煙はできるだけしていただくことがよろしいかと思います。また、脳ドックなどの健康診断で、脳動脈瘤があるかどうかといった評価を行い、2mmくらいのものであればすぐに治療をする必要はありませんが、ある程度以上の大きさになれば専門医のいる医療機関でご相談いただき、破れる前に治療することをお勧めします。

執筆者

脳神経外科 副部長  目黒 俊成
専門医・指導医 日本脳神経外科学会専門医/日本脳卒中学会認定脳卒中専門医・指導医/日本脳神経血管内治療学会専門医・指導医/卒後臨床研修指導医
専門領域・得意分野 脳卒中の外科治療/脳血管内治療

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