脳動脈瘤について

更新日:2017/02/14

脳動脈瘤について

脳動脈の血管壁が薄くなり、風船のように膨らんでくる病気を脳動脈瘤といいます。
脳動脈瘤の壁は薄いため破れることがあり、破れると出血して、くも膜下出血という脳卒中になります。くも膜下出血は死亡率が高く、後遺症を残しやすい重篤な脳卒中です。


脳動脈瘤は決して珍しい病気ではありません。小さいものも含めると、40歳以上の成人100人のうち4-5人は持っていると考えられています。近年、脳ドックや頭痛のスクリーニングで行われるMRIなどで、破裂する前に脳動脈瘤が発見されることが増えてきました。
 
すべての脳動脈瘤が出血するわけではありませんが、脳動脈瘤は自然に治癒することはありません。内服薬や点滴などの内科治療で脳動脈瘤を縮小させることも期待できません。出血を予防するためには外科治療が必要です。


脳動脈瘤の外科治療には大きく分けて2種類の方法があります。
①開頭によるクリッピング手術(動脈瘤の頚部をチタン製のクリップで遮断する方法)と、
②脳血管内治療(動脈瘤内に極細のカテーテルを進めて金属製の細く柔らかい針金「コイル」を充填する方法)です。

つまり動脈瘤の外側からあるいは内側から治療して動脈瘤内に血液が入らないようにする方法です。どちらを選択するかは、患者さんの全身状態や脳動脈瘤の発生部位、形、大きさ等を参考にして決定しますが、執刀医の考えや得意な方法にも大きく依存します。また、どちらの治療法も手術リスクがあります。







くも膜下出血を起こして発見される破裂脳動脈瘤は再出血を起こしやすいため早急な外科治療が必要ですが、偶然MRIなどで発見された未破裂脳動脈瘤がいつ頃出血するかは誰にもわかりません。一生出血しない可能性もあります。治療には手術リスクを伴うため、将来的に破裂の危険性が高いと判断された場合に治療を行うことになります。


未破裂脳動脈瘤をすぐに治療せず経過観察する場合には、禁煙などの生活指導や高血圧症の厳重な管理を行い、定期的に脳検査を行って脳動脈瘤の大きさや形状の変化を評価するのが一般的です。
 
未破裂脳動脈瘤が見つかった場合には、脳神経外科専門医だけでなく脳血管内治療専門医の診察を受けることも考慮するのが良いでしょう。当院には脳動脈瘤治療の経験豊富な脳神経外科専門医および脳血管内治療専門医が勤務しています。すぐに治療が必要なのか、開頭手術や脳血管内治療の適応なのか等を総合的に検討して、患者さんそれぞれに合った治療方針を提供することができます。
 

執筆者

脳神経外科 副部長  目黒 俊成
専門医・指導医 日本脳神経外科学会専門医/日本脳卒中学会認定脳卒中専門医・指導医/日本脳神経血管内治療学会脳血管内治療専門医・指導医/卒後臨床研修指導医
専門領域・得意分野 脳卒中の外科治療/脳血管内治療

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