新しくなったアトピー性皮膚炎の治療について

更新日:2023/11/07

新しくなったアトピー性皮膚炎の治療について

   アトピー性皮膚炎は、暑い時期は汗で、寒い時期は乾燥して悪化することがあります。また、二次感染としてとびひになることがあります。
 アトピー性皮膚炎の治療薬は、2018年以降、注射薬が3剤、内服薬が3剤、塗り薬が2剤、新たに発売されました。
 注射薬と内服薬に関しては全身的に良く効く治療で、長い間重症だった患者さんも痒みがとれ、高い効果が得られています。外用薬は、1999年にプロトピックという免疫抑制薬が発売されて以来同じ治療しかありませんでした。ステロイド外用剤は長期間使用すると皮膚の萎縮を生じるため、この副作用を生じない点がプロトピックのメリットです。しかし、プロトピックには刺激感・灼熱感があり使いにくいことあります。新しい外用剤は、プロトピックより効果が弱い印象ですが、刺激感が少なく使いやすいです。一部の患者さんからは、痒みが取れたとの声が聞かれています。
 注射薬は効果が高く、感染症などの重篤な副作用のリスクがほとんどない点がメリットです。注射の痛みや自己注射の手間がデメリットです。また、中止や再開を繰り返すと薬剤に対する抗体ができ効果が減弱することがあります。
 内服薬は症状が改善したら中止することが可能で、症状再燃時に再開しても効果が減弱しません。免疫を抑えることになるため、結核や肝炎などの感染症に注意が必要で、投与前や投与中に定期的な検査が必要です。
 新しい注射薬や内服薬は高額で、重症度や使用基準に基づいて使用します。新しい薬を使用すると症状が改善するため外用をやめてしまいがちですが、保湿などのスキンケアや湿疹のコントロールのために外用療法は大切です。
 また、アトピーが酷い方の中には、アトピー性皮膚炎として長期的にフォローしたのちに皮膚リンパ腫など別の疾患であると診断されることがあります。これは皮膚リンパ腫の診断が難しいため仕方のないことですが、アトピー性皮膚炎がひどい方は定期的に通院しましょう。皮膚の痒みに悩まれている方はぜひ皮膚科専門医にご相談ください。

執筆者

皮膚科 医長  深松 紘子
専門医・指導医 日本皮膚科学会皮膚科専門医
専門領域・得意分野 皮膚科一般/アレルギー・膠原病

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