高齢になると骨密度が低下し、だんだん背中が曲がるように骨の形がかわってくることがあったり、骨を作ったり吸収するバランス機能が崩れてくるため、骨が弱くなります。特に、下肢や股関節、膝など身体を支える骨が折れると、長期間の臥床や筋力低下のため、杖が必要になったり、寝たきりになったりすることがあります。
骨粗鬆症は歳とともに骨自体が弱くなったり骨の構造が脆くなることで起こり、また、女性ホルモンと関係があるため閉経後に一気に進むことがあり、高齢女性に多く起こります。
高齢者によく起こる骨折は、肩の付け根、手首、背骨、股の付け根の4つが代表的です。骨粗鬆症を基盤とした骨折は、立った高さから転倒することで起こり、転んだ時に手をついた場合は手首を、手をつけずに転倒した場合は肩や股を骨折する傾向にあります。
骨折は部位や折れ具合によって治療法が変わります。骨のずれが少なく手術しなくても治る骨折も多くありますが、大腿骨近位部や背骨の一部など治すのに1~2か月寝たきりにしないといけない場合など、早く痛みなく動ける状態にしてあげるためにも手術をします。手術は、骨をくっつける金属を入れて固定する方法が基本となります。更に治りにくい骨折には人工物(人工骨頭や人工関節など)を入れる場合もあります。
転ばないためには、家の中でもコード類を整える、段差のある所に手すりを付けるなど環境整備が大切です。また、家の中でも外でも、履物にも注意が必要です。
骨粗鬆症は、ビタミンDと一緒にカルシウムを摂り、紫外線を浴びることで予防できると言われています。日陰でも構わないので、縁側などで30分ほど日光浴をすることがお勧めです。
健康に生活できているうちから、骨粗鬆症とそれに続く骨折の連鎖を意識し、予備軍になっていないか骨密度健診などを受診し、日常生活から予防することが大切です。治療が必要な場合は、医療機関を受診し、ご相談ください。