尿潜血または血尿を指摘された方へ

更新日:2017/01/12

尿潜血または血尿を指摘された方へ

尿に赤血球を認める状態が「血尿」ですが、必ずしも治療を必要とするとは限りません。
血尿の程度や年齢などの条件に応じた検査を行い、治療する必要がある病気があるかどうかを判定します。


1.一般的な血尿の原因
 尿が通過する経路のがん、尿路結石、尿路感染症、腎炎、遺伝的なもの、原因がはっきりしないものなどがあります。


2.血尿の分類
①肉眼的血尿:目で見て赤い尿
②顕微鏡的血尿:肉眼ではわからないが、顕微鏡で見て初めて分かる血尿
③尿潜血:試験紙を尿に浸して、色の変化で判定
④顕微鏡的血尿+たんぱく尿:試験紙でたんぱく尿、顕微鏡で血尿を認める
血尿の場合は泌尿器科、たんぱく尿を伴う場合は腎臓内科を受診することが多いですが、両方の診療科を受診したほうが良い場合もあります。


3.必要な検査
下記検査を病状に合わせて行います。
①検尿・沈査     顕微鏡で実際の血尿の程度を判定
②超音波検査     腎臓や膀胱などの形の検査
③尿細胞診      尿中にがん細胞が混じっているかどうかの検査
④CT        結石や腫瘍の有無を検索
⑤採血        腎臓の機能や腎炎の有無を調べる。
中高年男性の場合はPSA検査を含む。
⑥膀胱鏡       膀胱内を内視鏡で観察
⑦腎生検             じん臓の組織を採取する検査


4.注意点
①検査の時点で正常でも、経過を見るうちに病気が判明することがあり、血尿が持続している間は、定期的な検査が必要
②肉眼的血尿は、顕微鏡的血尿よりも、治療が必要な疾患がある場合が多いため、経過観察が重要
③悪性腫瘍のリスクは、40歳以上の男性、喫煙、肉眼的血尿、有害物質への暴露、排尿刺激症状、放射線照射などがあり、リスクの高い場合は、更に厳重な経過観察が必要
④顕微鏡的血尿およびたんぱく尿を認める場合は、腎臓内科での診察が必要
⑤顕微鏡的血尿のみの場合は、将来的にたんぱく尿が出現し、腎機能障害が起きる可能性があり、定期的にたんぱく尿の有無などを調べる


気になることがあればまずは主治医に御相談ください。

執筆者

泌尿器科 部長  上原 慎也
専門医・指導医 日本泌尿器科学会専門医・指導医/泌尿器腹腔鏡技術認定制度認定医/日本内視鏡外科学会技術認定医/ロボット外科学会専門医(国内A級)/泌尿器ロボット支援手術プロクター認定制度認定医/日本がん治療認定医機構認定医/日本化学療法学会抗菌薬臨床試験認定医/ICD制度協議会認定インフェクションコントロールドクター(ICD)
専門領域・得意分野 ロボット手術/尿路結石に対する内視鏡手術/腹腔鏡手術/尿路感染症

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