1.学校保健安全法による出席停止期間
(1)学校はいつまで休む?
インフルエンザにかかった時は、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで」学校を休みます。インフルエンザという病気は、通常は高熱を伴いますから、一般に「発症」とは「発熱」の症状が現れた日を指します。このことは学校保健安全法施行規則に定められており、学校を休むことが必要と定められている期間を「出席停止期間」といいます1,2)。ただし、医師が病状から感染のおそれがないと判断した場合は、これより早い時期でも登校は可能となります。
「解熱した後2日を経過するまで」の日数の数え方について、以下の図1で解説します。
たとえば、「月曜日の正午」に解熱したこと(一般的には37.5℃未満の体温)が確認されたとします。その場合、いつから登校が可能になると思いますか?
図1の①は、火曜まる一日で1日経過、水曜まる一日で2日経過と考え、木曜朝から登校可能とする考え方です。
②は火曜正午の時点で1日経過(24時間)、水曜正午の時点で2日経過(48時間)と考え、水曜午後から登校可能とする考え方です。
③は月曜残り半日で1日経過、火曜まる一日で2日経過と考え、水曜朝から登校可能とする考え方です1,2)。
学校保健安全法で「○○した後△日を経過するまで」という場合は、「○○」という現象が見られた日の翌日を第1日として計算します。したがって、図1では①が正しい数え方です。「○○」が「発症」である場合も、計算の仕方は同様です。たとえば、木曜日に発症した場合、「発症した後5日を経過するまで」の計算の仕方は、金曜で1日、土曜で2日、日曜で3日、月曜で4日、火曜で5日経過と考え、水曜朝から登校可能と数えます。
(2)保育園や幼稚園はいつまで休む?
保育園児や幼稚園児は、「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後3日を経過するまで」園を休みます。ただし、医師が病状から感染のおそれがないと判断した場合は、これより早い時期でも登園が可能ということは、通学児と同様です1,2)。
保育園児や幼稚園児では「解熱後3日」と決められており、学校に通う子どもより解熱後の出席停止期間が1日長くなっています。この理由は、年齢の小さな子どもではインフルエンザウイルスの排泄が長期に続くという医学的な知見によるものです。
また、解熱したということだけでは患者自身の体調・体力が十分に回復したとはいえず、特に乳幼児では、いったん解熱しても再度発熱することもあり(「二峰性発熱」と呼ばれます)、他の児への感染の拡大防止に加え、かかった児の健康を守るという観点からも、学校に通う子どもより1日長い解熱後の日数が設定されていることは適切と考えられます1,2)。
【参考資料】
1) 公益財団法人日本学校保健会(文部科学省著作物複製許可25文科初第399号).学校において予防すべき感染症の解説.丸善,2013年8月.
2) 中野貴司:園学校での注意、特に学校保健安全法等による出席停止期間について.河合直樹編著 よくわかるインフルエンザのすべて.P78-86,医薬ジャーナル社,2013年8月.