海外旅行でかかりやすい病気

更新日:2018/09/06

海外旅行でかかりやすい病気

1950年に世界中で2,500万人だった海外旅行者は、2011年は10億人に達しました。日本から海外へ出かける人たちも増加し、2015年の出国日本人数は1,621万人を数えました。海外に旅することが日常となったグローバル時代の到来です。また、かつてビジネスや観光に限られていた海外旅行の目的は多様化し、駐在先や留学先は欧米諸国のみならず途上国にまで拡大しました。国際結婚のカップルは増え、海外からの日本への旅行者(インバウンド)の増加が著しいことも近年の特徴です。
 ところ変われば、気候や環境も変化し、流行する病気には地域的な特徴があります。それらの感染症への対策は、まずは訪問先の的確な情報を入手して、手洗いや食中毒予防など一般的な注意に心がけることが大切です。また、感染症の中にはワクチンで予防できるものがあります。楽しい旅行を辛い思い出にしないために、海外駐在先で体調を崩して苦労しないために、防げる病気は予防するように平時から心がけましょう!
 海外旅行に備えてのワクチンというと、狂犬病や黄熱など海外に特徴的な病気だけを想定しがちですが、決してそうではありません。近年の麻しんの流行は、すべて海外で流行しているウイルスが国内に持ち込まれたものですし、2013年の風しんの流行もその可能性が高いとされています。すなわち、小児期から各ワクチンを定められた回数接種しておくことがまず大切で、接種漏れや、接種して長い年数が経過している場合は追加の接種が必要となります。それに加えて、目前の海外旅行に備えて新たに想定される感染症のリスクを勘案して、ワクチンを計画することになります。
 現在国内で接種されているワクチンの一覧表を示しました(表)。この中で、あなたはどれくらい接種を済ませていますか?年齢や旅行先によって、接種が勧められるワクチンには差異がありますから、詳細については医療機関に相談しましょう。海外での感染症やワクチンに関する情報は、下記のサイトなどが参考になります。岡山県予防接種センターでは、毎週火曜日と金曜日の13時から16時まで、電話による相談も受け付けています(電話番号:086-225-2355)。
 
   *厚生労働省検疫所    https://www.forth.go.jp/index.html
   *岡山県予防接種センター http://www.kawasaki-m.ac.jp/kawasakihp/yobou/
 
                                

執筆者

小児科 特任部長  中野 貴司
専門医・指導医 日本小児科学会小児科専門医/日本感染症学会専門医・指導医/ICD制度協議会認定インフェクションコントロールドクター(ICD)/国際渡航医学会認定資格/臨床研修指導医
専門領域・得意分野 小児科、感染症、予防接種、国際保健

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