よくわかる脳卒中のお話・・・その12

更新日:2017/11/23

眼と脳神経

眼と脳は密接に関わっています。脳神経の病気が原因で生じる眼の症状としては
・物が二重に見える(複視)
・片方の眼が急に見えなくなって、しばらくするとまた見えるようになった(一過性黒内障)
・物の左右どちらか半分が見えない(半盲)
・眼が閉じられない(兎眼)
・眼が閉じたままになる(眼瞼下垂)
・両眼が左右どちらかに寄る(共同偏視)

と多種多様です。それぞれの症状は、カッコの中にあるような言葉で医学的な名称がつけられており、すべてが脳の障害を示しています。しかし、私たちの外来に、眼の異常の訴えだけで来られる患者さんはほとんどいません。たいていは、まず近くの眼科を受診して、そこから紹介され来院されます。脳卒中が原因となる症状で多いのは、一過性黒内障、半盲、共同偏視です。
 

一過性黒内障
一過性黒内障というのは、片方の眼の動脈に血栓が詰まって血液が流れなくなり、片側の眼が見えなくなる状態です。数分から数十分すると、その血栓が自然に溶けて再び眼が見えるようになります。

この原因の多くは、眼が見えない側の頸動脈に相当ひどい動脈硬化があって、その動脈硬化の一部がはがれて血栓となり、血液の流れに沿って眼の動脈に詰まるといわれています。血栓が眼の動脈に詰まれば見えなくなるだけなのですが、脳の血管に詰まった場合は脳梗塞(脳血栓)を起こして、麻痺や痺れをきたします。

この一過性黒内障というのは、脳梗塞の前触れといわれている危険なサインです。このような患者さんが私たちの病院に来院された場合は、すぐに入院していただいて様々な検査を行い、脳梗塞が起こらないように点滴の治療を開始します。


一過性黒内障
半盲と共同偏視も同様で、脳卒中のひとつの症状であり、緊急に入院していただき、点滴の治療が必要です。
眼の異常は、いわゆる老眼、近視や白内障といった眼科で治療される疾患以外にも、脳神経の障害によって起こる場合があることを頭の片隅においてほしいと思います。
 
 

次回は、意識消失について、詳しくご説明します。

執筆者

脳卒中科 副部長  井上 剛
専門医・指導医 日本内科学会認定内科医/日本脳卒中学会認定脳卒中専門医
専門領域・得意分野 神経疾患全般/脳卒中全般

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