CTによる新しい大腸がん検診のご案内
大腸CT検査について
近年、がんのなかでも「大腸がん」で亡くなる方が増えてきています。最近の調査では、女性のがん死亡原因の第一位、男性の第三位となっています。
しかし、大腸がんは早期発見・早期治療を行えば完治が望めるがんです。
大腸CT検査は大腸内視鏡を使わない新たな大腸検査方法です。炭酸ガスを注入することで大腸内を拡張させ、CT装置を用いて撮影しデジタル画像処理を行うことであたかも内視鏡で観察したような3次元画像を得ることができます。
通常の大腸内視鏡検査では検査当日に大量の下剤 (約2L)を服用する必要がありますが、この検査では検査2日前の下剤2錠、前日には検査食と毎食後の大腸用造影剤服用 (バリウム1回約30mL)、就寝前の下剤服用(180mL)で行います。検査当日は約400mlの下剤のみで、大量の下剤服用の必要がなくなり、比較的苦痛が少なく、短時間で検査することが可能です。大腸CT検査は10㎜以上のポリープや癌に対する診断能力は大腸内視鏡検査とほぼ同等であると報告されています。なお、非常に稀ですが検査に伴う大腸穿孔 (大腸に穴が開く)の頻度は0.02%と報告されています。なお、大腸CT検査で何らかの異常がみつかった場合には内視鏡検査(大腸カメラ)が必要となります。
当日の検査までの主な流れ
前処置
- 1
- 検査2日前の就寝前に下剤2錠を服用します。
- 2
- 検査前日の朝食から検査食を食べていただきます。
- 3
- 検査前日の夕食後 (19時~21時)に下剤 (マグコロールP 50gを水180mLに溶かします)と就寝前に下剤1本をコップ1杯程度のお水と服用していただきます。
- 4
- 検査当日の朝は絶食となります。水分摂取は可能です。
検査当日は、病院で下剤(ニフレック)に大腸CT用経口造影剤20ml(ガストログラフィン)を加えたものを約400ml飲んでいただきます。
なお、検査食は別途購入して頂きます。
検査の実際
- 1
- CT室へ移動します。
- 2
- CTの寝台に横になり、肛門から直径約1cmのチューブを10cmほど入れます。
- 3
- 炭酸ガス注入前の撮影をします。
- 4
- チューブから少しずつ炭酸ガスを注入していきます。炭酸ガスの注入が終わると、本撮影 (仰臥位と腹臥位の2体位)を行います。
- 5
- 画像を確認後、チューブを抜去して検査終了です。
入室から退室まで約20分程度ですが、必要な際には延長することもあります。
大腸の炭酸ガスは速やかに腸管から体内への吸収されるため、検査後の腹部膨満や腹痛はほとんどないためご安心ください。
検査結果の報告
専門医による画像解析を行うため、結果は2~3週間程度かかります。
- ●痛みなど苦痛の少ないお腹にやさしい検査です。
- ●内視鏡の挿入困難な方でも、検査が容易です(実際の内視鏡は挿入しません)
- ●内視鏡では観察しづらい、大腸のひだや曲がり角の裏などの観察に優れています。
- ●検査が短時間で終わります(検査室に入ってから約20分程度)。
- ●下剤や腸管洗浄剤の服用量を減らすことができ、鎮静剤の注射をする必要がありません。
- ●大腸以外の腹部臓器(肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓、膀胱、前立腺、子宮、卵巣など)の診断も可能です。
- ●ポリープの大きさや位置が正確にわかります。
- ●腸が癒着している方や腸が長い方でも検査が可能です。
- ●大腸に穴が開くなどの偶発症(事故)は他の大腸検査よりも極めてまれです。
大腸CT検査の短所
- ●5mm以下のポリープや平坦な病変を見つける能力は内視鏡検査に比べて劣っています。
- ●細胞の検査 (生検)やポリープの切除などの治療はできません。
- ●最低限の医療X線被曝があります。
大腸CT検査のできない方
- ●CTの撮影ができない方
- ●妊娠中の方
- ●腹壁にある特定のペースメーカーを装着されている方
- ●前処置ができない方
- ●腸閉塞が疑われる方
- ●腎機能が極めて悪い方
- ●大腸ポリープ切除直後(1ヶ月以内)、腸管の手術後(1年以内)