耳鼻咽喉・頭頸部外科は五感のうち視覚を除いて全て扱っている『感覚器のエキスパート』であり、極めて幅広く奥の深い診療分野であります。
川崎医大学総合医療センターでは耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域のあらゆる疾患の診断・治療を一貫して行ってまいります。
- 1.感覚器の障害である聴覚・めまい・平衡障害、味覚障害、嗅覚障害の診療を行います。
- 2.口蓋扁桃摘出術、内視鏡的鼻・副鼻腔手術、鼓室形成術、喉頭手術など基本的な手術を安全に行います。
- 3.頭頸部癌に対しては、腫瘍摘出術、頸部郭清術と化学放射線療法を選択し、可能な限り臓器・機能温存を目指して治療していきます。
- 4.唾液腺腫瘍(耳下腺腫瘍、顎下腺腫瘍)での顔面神経を温存した摘出術を行っていきます。
- 5.嚥下障害・音声障害に対するリハビリテーションと、積極的な手術の推進を目指していきます。
- 6.花粉症などの免疫アレルギー疾患、睡眠時無呼吸症候群、漢方領域にも対応していきます。
- 7.外傷や鼻出血、急性感染症などの救急医療との連携も十分に行っていきます。
- 8.補聴器・耳鳴り外来、副鼻腔・音声外来を充実させ、アレルギー外来、めまい外来、頭頸部腫瘍外来、漢方外来の設置を目指します。
特徴・特色
内視鏡的鼻・副鼻腔手術
1.『メニエール病、突発性難聴、良性発作性位めまい症に対する積極的な治療』を行っております。
難治性のメニエール病に対してはゲンタマイシン鼓室内注入療法、ステロイドホルモンで軽快しない突発性難聴に対しては脱線維素原療法(デフィブリダーゼ)療法、再発性・難治生良性発作性位めまい症に対しては浮遊耳石置換法を取り入れ、積極的に治療しております。
2.『内視鏡的鼻・副鼻腔手術』を積極的に行っております。
アレルギー性鼻炎・肥厚性鼻炎・鼻中隔彎曲症・慢性副鼻腔炎・鼻茸・副鼻腔真菌症に対する内視鏡的鼻・副鼻腔の利点は、①出血が少ない。②手術中・後の疼痛が少ない。③術後頬部知覚麻痺(しびれ)がない。④副損傷の確認が容易である。⑤手術後、術後性上顎嚢胞の発生がないことです。出血や、部位により術野の明視下での十分な確認が困難な場合がありますが適確な対応が可能です。
3.『進行頭頸部がんに対する臓器・機能温存療法としての機能温存手術および化学放射線療法』の経験が豊富です。
頭頸部がんは早期であれば手術・放射線ともに臓器・機能は温存されますが、進行がんでは手術によって、五感の中でも視覚・嗅覚・味覚の喪失や音声・嚥下機能障害を起こします。そこで機能温存手術または化学放射線療法および計画的頸部郭清術を行うことで眼球・口腔・咽頭・喉頭などの臓器・機能温存と生存率の向上を目指しております。再発・転移癌に対しては免疫療法を行います。
4.『嚥下障害・音声障害に対する積極的な手術』を行っています。
嚥下訓練で改善しなければ輪状咽頭筋切断術、喉頭挙上術を、嚥下性肺炎を繰り返す患者さんには喉頭気管分離術、喉頭全摘出術を行います。また片側性声帯麻痺に対し声帯内バイオペックス注入術、両側声帯麻痺に対し声門開大術(エイネル法)を積極的に導入しています。
5.『耳鼻咽喉科救急疾患に対する早期対応』が可能です。
大量・難治性鼻出血に対しては早めに手術室で内視鏡的鼻腔粘膜凝固術が可能です。また喉頭浮腫や深頸部感染に対して、早期に緊急気管切開術や頸部膿瘍切開排膿術を施行し救命いたします。
6. 『患者さんのご希望に応じた優しい医療』を心がけています。
患者さんは皆様、個人的・社会的なご事情がおありです。耳鼻咽喉科疾患は急性疾患・慢性疾患・悪性腫瘍と様々な疾患があります。それぞれの疾患に応じた治療の緊急度・重要度の説明と、ご事情・ご希望に応じた対応を心がけ診療にあたっております。