ヘルニア外来

外来日時
月曜日午後、金曜日午前
診療科
外科
担当
外科 部長 浦上淳(日本内視鏡外科学会技術認定医)
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086-225-2111(代)
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診療内容

ヘルニアとは臓器の一部、または全部が体壁や体内にある隙間を通って、本来の位置から逸脱した状態をいいます。脊椎の椎間板ヘルニアが良く知られていますが、外科で扱うものでは、違う種類のヘルニアで、以下の疾患があります。
  • そけいヘルニア
  • 大腿ヘルニア
  • 閉鎖孔ヘルニア
  • 腹壁瘢痕ヘルニア
この中で最も頻度の高い、そけいヘルニアについて説明いたします。

1.そけいヘルニアとは

太もも前面の付け根から恥骨あたり(そけい部)の腹壁の筋膜が弱くなり、その隙間から腹膜や腹膜に包まれた脂肪や腸がとび出してくる病気で、昔から「脱腸」と言われています。腹部に力を入れると足の付け根にふくらみができ、下腹に引っ張られたような痛みを感じます。
放置すると徐々に膨隆が大きくなり、時にとび出した腸が戻らなくなり血行障害を起こし(かんとん)、腹膜炎で緊急手術となることがあります。

  • 右そけいヘルニア

  • 右そけいヘルニアのかんとん

2.そけいヘルニアの治療

手術を行って、弱くなった腹壁を補強しないと治りません。薬では治りませんし、ヘルニアバンドという外から押さえる装具は装着している間はよいのですが、はずすと同じことなので、治るわけではありません。当院では腹腔鏡下そけいヘルニア修復術を導入し、患者さんから好評をいただいています。また従来のダイレクトクーゲル法やメッシュプラグ法も、要望があれば行っています。

3.腹腔鏡下そけいヘルニア修復術(Trans Abdominal Pre Peritoneal repair, TAPP)

腹腔鏡下そけいヘルニア修復術は、海外では1982年に発表され、日本では1991年に最初に行われています。ここ数年この腹腔鏡下そけいヘルニア修復術が普及した理由は、①腹腔鏡下手術の方が痛みが少ないというエビデンスが出た、②メッシュやタッカーなどの材料が良くなった、③他の臓器での腹腔鏡手術が普及し、外科医の経験、技術が向上した、④保険収載された、などが挙げられます。腹腔鏡下そけいヘルニア修復術のアプローチには2種類あり、TAPP (trans abdominal pre peritoneal approach) とTEP (totally extra peritoneal approach) であります。TAPPは腹腔内から腹膜をはがしてアプローチし、TEPは臍部から腹膜外に入り、腹膜外にバルーンでスペースを作ってアプローチするという違いがあります。当院で行っているのはTAPPであります。従来の方法に比べてTAPPが優れている点は、痛みが少ないことです。しかし全身麻酔でないと施行できないという短所もあります。

  • そけいヘルニアのイメージ
    おなかの筋肉のすきまの弱いところから、腸が脱出するような状態。

  • 腹腔鏡下そけいヘルニア修復術のイメージ
    おへそやその周辺から細いカメラや機器を挿入しヘルニアの部分にメッシュをあてて修復。

4.TAPPの手順

①まず臍部から筒状の器具(ポート)を挿入し、腹腔内へ二酸化炭素を送りこみ、気腹を行います。さらに左右の腹部にもう2つポートを挿入します。
  • 使用するポート
  • 使用するメッシュ
  • ②腹腔内からヘルニアを観察します。
  • ③ヘルニア門周辺の腹膜をはがしていきます。
  • ④メッシュを当てて、腹壁に固定します。
  • ⑤腹膜を結合します。
  • ⑥腹膜を結合しメッシュを覆えば終了です。

5.入院期間

手術の前日に入院し、手術を行います。問題なければ手術の翌日、または翌々日に退院可能です。従って2泊3日または3泊4日です。

6.費用

2泊3日の場合、3割負担で13~15万円、1割負担で4~5万程度です。

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