診療内容
突然死の原因のひとつとして、腹部大動脈瘤が注目されています
突然の腹痛・腰痛よりショック状態となり死に至る恐い病気ですが、通常は無症状のことが多く、破裂するまで症状がないことより「サイレントキラー」と呼ばれています。2016年人口動態統計では、死因の第9位に大動脈瘤及び解離が入ってきました。
そこで、生活習慣病としての糖尿病・高血圧・高脂血症で治療されている方は、一度、腹部超音波検査や腹部CT検査を受けられることをお勧めいたします。
腹部大動脈は2~2.5cmぐらいの径ですが、これが4cm以上に拡大すると破裂する危険性が認められます。
治療としては、4cmまでは薬物治療・経過観察、4~5cm以上では瘤の増大スピードや瘤形状によって、また5cm以上では手術(人工血管置換術)かステントグラフト内挿術(EVAR)を施行しています。胸部大動脈瘤は瘤経6cm以上が手術適応です。
ステントグラフト内挿術(腹を切らずに)では、解剖的条件が合えば、高齢者、重篤な合併症を持っている患者さんにも低侵襲に治療を遂行することができます。術後3日目より歩行し、術後1週間での退院が一般的です。破裂症例にもステントグラフト内挿術を適応拡大して施行しております。
最近は経皮的血管形成術用穿刺部止血材料(PERCLOSE PROGLIDE
TM)を用いて、より低侵襲になるように努めています。
胸部大動脈瘤・大動脈解離は心臓外科とタイアップして、瘤の部位や瘤経、年齢、合併症より手術(人工血管置換術かステントグラフト内挿術(TEVAR)を施行しています。令和4年からは弓部大動脈瘤に完全オーダーメイドの開窓式ステントグラフトを用いて治療にあたっています。
人工血管置換術
腹部ステントグラフト(一般的)
腹部ステントグラフト(破裂例)
胸部ステントグラフト(左総頸-腋窩動脈バイパス+TEVAR)