脳卒中は、大まかに脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血に分けられます。当科ではそのうち脳梗塞、脳出血(手術を要しないもの)を主な対象疾患としています。また、脳梗塞になる前触れともいわれている一過性脳虚血発作についても積極的に治療の対象とし、脳梗塞に至らないよう可能な限り早期に治療介入しています。
2005年にt-PAという薬で脳に詰まった血栓を溶かす治療が日本でも開始されました。ただし、私たちの体の中で脳は非常にデリケートな部分なので、脳の血管が詰まると、すぐに脳は死んでしまいます。この治療も、脳梗塞が起こって4時間30分以内に開始しなければ効果がありません。また、脳梗塞を起こして大幅に時間が過ぎてから治療を開始すると、薬の副作用で脳出血を起こし、さらに重症化する可能性があります。 当院ではt-PA治療を中心に診療を行います。また、細い管(カテーテル)を脳の血管に入れて、血栓を除去したり、吸引したりする方法(脳血管内治療)も行います。
2016年6月1日付でSCUを開設いたしました。詳細は「中央協力部門」のSCUのページをご参照ください。
脳の血管がどのようにして詰まったのかを診断するために、頭部MRI/CTに加え、各種検査(脳血管造影、全身の造影CT、頸部血管エコー、経頭蓋ドップラー(TCD)、経食道心エコー、下肢静脈エコーなど)を駆使して、患者さんそれぞれの脳梗塞の原因を探ります。原因が判明すれば、より適切な治療につながります。
当院ではリハビリテーション専門医、理学療法士、作業療法士、言語療法士といったリハビリスタッフが市内の救急病院の中では非常に充実しております。身体的な麻痺や言語・嚥下障害などに対し入院当日または翌日からリハビリテーションを行い、機能の改善を図ります。
脳神経外科・脳卒中科・リハビリ科の医師、看護師、リハビリスタッフ、医療ソーシャルワーカー、薬剤師、管理栄養士で構成された脳卒中チームで治療に取り組んでいます。毎朝カンファレンスを行い、入院患者さんひとりひとりについて、治療方針の検証、確認と修正をしています。チーム一丸となって、各職種が全力を尽くして患者さんにベストな医療を提供しています。
令和3年4月~令和4年3月
入院患者疾患内訳
脳梗塞 | 222人 |
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脳内出血 | 25人 |
一過性脳虚血発作 | 6人 |
その他 | 7人 |
治療実績
脳血栓回収術 | 12例 |
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t-PA静注療法 | 43例 |