斜視・弱視外来

外来日時
月曜午前(9:00~12:30、)
火曜午後(1:30~4:00)
水曜午前・午後(9:00~12:30、1:30~4:00)
木曜午後(1:30~4:00)
金曜午前・午後(9:00~12:30、1:30~4:00)
診療科
眼科
担当
眼科 部長 長谷部 聡
眼科 医長 古瀬 尚
眼科 特任医長 小橋 理栄
眼科 医師 大月 洋
ご予約
086-225-2133(地域医療連携室、月~金曜日 午後1:30~4:30)
お問い合わせ
086-225-2111(代)
お電話で「斜視・弱視外来」とお伝えください。

斜視・弱視外来とは?

2013年に開設された斜視・弱視外来では現在、斜視・弱視に豊富な診療経験を持つ眼科専門医4名と、お子様にもフレンドリーな視能訓練士5名が診療を担当しています。昨年度も、中四国全県、さらに北海道、東北、関東、中部、近畿、九州地方を含めて、のべ5,765名の斜視・弱視の皆様に受診していただき、460件の斜視手術を実施いたしました。これからも地域の弱視・斜視診療の拠点となるべく、診療技術の向上に取り組んでいきたいと思います。

斜視手術は簡単な手術と誤解されがちですが、しっかり治すには、技術と経験が必要です。クリニックでは海外の専門医や研究者と交流しながら技術向上に努め、革新的な治療法(アジャスタブル手術や低侵襲斜視手術)に10年以上取り組んでいます。また院内では、小児科専門医、麻酔科専門医と密接な協力態勢にあり、小さなお子様にも安心して手術を受けて頂くことができます。

「長年、斜視には慣れているから」、「一度手術を受けたが治らなかったから」などとあきらめないで、ご相談下さい。しっかり検査して、しっかり説明する。納得できるまで説明をして手術に臨んでもらうことをモットーにしています。また「セカンド・オピニオンを聞きたい」場合にも、ご利用下さい。


斜視の手術を終え、くつろぐスタッフ(山陽新聞)

先進的治療の紹介

1. アジャスタブル斜視手術

斜視手術は見た目の問題とともに、立体視をはじめとする両目で物を1つに見る能力(両眼視)の回復・獲得をめざして行われます。一般的には、ずれた視線の角度にあわせて、経験的に得られた「術量-矯正効果関係」に基づいて、外眼筋付着部を数ミリ移動させます。しかし、「術量-矯正効果関係」には個人差があるため、斜視手術の成功率は必ずしも高いものではなく、残った視線のずれを治すため2度目、3度目の手術が必要になることが少なくありません。
アジャスタブル斜視手術では、手術終了後、視線の方向を確かめ、筋肉を眼球に固定する糸の結び目を移動させることで、矯正効果を微調整します(下図A-F、Orbit1.8で作図)。米国ジョンズホプキンス病院の報告では、再手術率が20~30%(通常法)から10%(アジャスタブル)まで改善するといわれています。特に麻痺性斜視、機械性斜視、再手術例など矯正効果の予測が難しいケースで威力を発揮しています。

2. 低侵襲斜視手術

斜視手術では外眼筋に到達するために、外眼筋をカバーする結膜(白目の部分)を一時的に広げる必要があります。一般的には、結膜を縦にまたはコの字型に広げる輪部切開(上図A, B)が行われます。しかしこの方法では、丁寧に縫合しても、白目の充血、腫れ、しわが長期間残ることが少なくありませんでした。
低侵襲斜視手術(上図D、スモールインシ―ジョン)では、経線方向においた4~5mmの小さな結膜切開創から全ての操作を行うため、手術創が極めてきれいになるのが特徴です(下図)。また術後の痛みや刺激が少なく、さらに癒着や瘢痕が少ないため、再手術が必要になった場合も有利です。


3. 乳児に対する斜視検査

3D映画や3Dテレビを楽しむには立体視の働きが必要ですが、立体視の発達は生後1歳半までに終了します。この期間、斜視の状態が続き、両眼視の機会が与えられないと、大脳視覚野における立体視の発達が得られず、後日、斜視が矯正されても立体視は回復しません。超早期手術では、立体視獲得を目指して、生後6~12か月の時点で斜視手術を行います。
治療を成功させるには、視線のずれの角度を正確に調べ、角度に基づいて、正確な手術を行うことが大切です。検査協力が得られにくい乳児でも、できる限り正確な斜視検査ができるよう、ビデオ・エンハンスト・ヒルシュベルグ装置(下図)などの研究を行っています (Hasebe, et al: The reliability of a video-enhanced Hirschberg test under clinical conditions. Investigative Ophthalmology & Visual Sciences, 1995 / Hasebe, et al: Biometric confirmation of the Hirschberg ratio in strabismic children. Investigative Ophthalmology & Visual Sciences, 1998)。


(治療法が適応できるかどうかは、症例により異なります。)

4. 麻痺性斜視

ダブルアンダー筋移動術(図)を実施しており、従来治療が難しかった大角度(60~100△)の麻痺性斜視を、効果的に矯正することができるようになりました(Furuse T, et al: Double-under muscle transposition: an effective surgical option for large-angle paralytic strabismus. Journal of American Association of Pediatric Ophthalmology and Strabismus, 2021)。


5. 後天性内斜視(スマホ斜視)に対する新しい定量法

成人になって起こる内斜視の多くは、視線のずれは小さく目立ちませんが、遠方で複視(二重視)があるため、自動車の運転やスポーツ(球技)などで、大きな問題になります。矯正効果を再検討し(図)、新しい定量法を採用することで、治療成績が向上しました。多くの場合、手術は局所麻下で30分程度です(Hasebe S, et al. Double-angle modification of Parks surgical table improves the outcomes of unilateral medial rectus recession in adult patients with small-angle esotropia. Investigative Ophthalmology & Visual Science 2018, Vol.59, 2936. Abstract)。


斜視手術のスケジュール

○中学1年生~成人の方は、多くの場合、局部麻酔で手術可能で、日帰り手術になります(ご遠方にお住まいの方は、入院または近隣ビジネスホテルに宿泊できます)。ご本人のご希望によっては、全身麻酔での手術もできますが、この場合は2泊3日の入院が必要です。
○乳幼児~小学生6年生のお子様は、2泊3日の入院で、全身麻酔で手術します。
いずれの場合も、初診で手術日が決まれば、手術日の2~4週前に術前検査においでいただきます。夏休みや春休みの治療をご希望される場合は、早めのご予約(半年~1年前)をお勧めします。

斜視手術のクリティカルパスはこちら

診療実績

診療実績(2021年1月~12月)

斜視・弱視受診患者数
受診患者数 初診:840名
再診:4,925名
手術件数 全身麻酔:182件
局所麻酔:278件
斜視手術実態調査
調査項目 件数
1斜視手術 総数 460
(初回手術) 392
(再手術) 68
2手術眼 片眼 423
両眼 37
3麻酔 全身麻酔 182
静脈麻酔 0
局所麻酔 278
4性別 男性 238
女性 222
5年齢 0-9歳 104
10-19歳 119
20-29歳 52
30-39歳 30
40-49歳 33
50-59歳 31
60-69歳 32
70-79歳 42
80歳~ 17
6対象となった斜視 内斜視 145
外斜視 247
上下・回旋斜視 80
特殊斜視 7
眼振 5
7術式 直筋1筋(内・外・上・下) 153
直近2筋以上 256
下斜筋手術 22
上斜筋手術 0
筋移動術 1
眼科手術既往眼 64
筋に瘢痕や拘縮あり 20
Faden手術 0
調節糸法 5
Lost muscle手術 0

診療実績(2020年1月~12月)

斜視・弱視受診患者数
受診患者数 初診:805名
再診:4,627名
手術件数 全身麻酔:189件
局所麻酔:300件
斜視手術実態調査
調査項目 件数
1斜視手術 総数 489
(初回手術) 396
(再手術) 93
2手術眼 片眼 455
両眼 34
3麻酔 全身麻酔 189
静脈麻酔 0
局所麻酔 300
4性別 男性 238
女性 251
5年齢 0-9歳 115
10-19歳 116
20-29歳 43
30-39歳 40
40-49歳 31
50-59歳 28
60-69歳 48
70-79歳 56
80歳~ 12
6対象となった斜視 内斜視 149
外斜視 258
上下・回旋斜視 87
特殊斜視 6
眼振 1
7術式 直筋1筋(内・外・上・下) 191
直近2筋以上 479
下斜筋手術 26
上斜筋手術 0
筋移動術 3
眼科手術既往眼 63
筋に瘢痕や拘縮あり 5
Faden手術 1
調節糸法 2
Lost muscle手術 0

診療実績(2019年1月~12月)

斜視・弱視受診患者数
受診患者数 初診:802名
再診:4,692名
手術件数 全身麻酔:199件
局所麻酔:317件
斜視手術実態調査
調査項目 件数
1斜視手術 総数 512
(初回手術) 407
(再手術) 105
2手術眼 片眼 476
両眼 36
3麻酔 全身麻酔 199
静脈麻酔 0
局所麻酔 317
4性別 男性 246
女性 266
5年齢 0-9歳 101
10-19歳 136
20-29歳 51
30-39歳 41
40-49歳 35
50-59歳 31
60-69歳 52
70-79歳 56
80歳~ 13
6対象となった斜視 内斜視 154
外斜視 266
上下・回旋斜視 77
特殊斜視 15
眼振 0
7術式 直筋1筋(内・外・上・下) 182
直近2筋以上 319
下斜筋手術 26
上斜筋手術 0
筋移動術 10
眼科手術既往眼 90
筋に瘢痕や拘縮あり 7
Faden手術 0
調節糸法 5
Lost muscle手術 0

診療実績(2018年1月~12月)

斜視・弱視受診患者数
受診患者数 初診:864名
再診:4,547名
手術件数 全身麻酔:211件
局所麻酔:272件
斜視手術実態調査
調査項目 件数
1斜視手術 総数 483
(初回手術) 384
(再手術) 99
2手術眼 片眼 442
両眼 41
3麻酔 全身麻酔 211
静脈麻酔 0
局所麻酔 272
4性別 男性 230
女性 253
5年齢 0-9歳 127
10-19歳 118
20-29歳 48
30-39歳 31
40-49歳 24
50-59歳 31
60-69歳 43
70-79歳 51
80歳~ 10
6対象となった斜視 内斜視 123
外斜視 278
上下・回旋斜視 109
特殊斜視 9
眼振 2
7術式 直筋1筋(内・外・上・下) 170
直近2筋以上 298
下斜筋手術 42
上斜筋手術 0
筋移動術 6
眼科手術既往眼 35
筋に瘢痕や拘縮あり 7
Faden手術 0
調節糸法 16
Lost muscle手術 0

診療実績(2017年1月~12月)

斜視・弱視受診患者数
受診患者数 初診:762名
再診:4,404名
手術件数 全身麻酔:220件
局所麻酔:243件
斜視手術実態調査
調査項目 件数
1斜視手術 総数 463
(初回手術) 365
(再手術) 98
2手術眼 片眼 423
両眼 40
3麻酔 全身麻酔 220
静脈麻酔 0
局所麻酔 243
4性別 男性 255
女性 208
5年齢 0-9歳 137
10-19歳 107
20-29歳 35
30-39歳 30
40-49歳 30
50-59歳 22
60-69歳 51
70-79歳 39
80歳~ 12
6対象となった斜視 内斜視 126
外斜視 274
上下・回旋斜視 94
特殊斜視 8
眼振 3
7術式 直筋1筋(内・外・上・下) 147
直近2筋以上 287
下斜筋手術 38
上斜筋手術 0
筋移動術 6
眼科手術既往眼 46
筋に瘢痕や拘縮あり 4
Faden手術 1
調節糸法 8
Lost muscle手術 1

診療実績(2016年1月~12月)

斜視・弱視受診患者数
受診患者数 初診:770名
再診:4,279名
手術件数 全身麻酔:163件
局所麻酔:285件
斜視手術実態調査
調査項目 件数
1斜視手術 総数 448
(初回手術) 367
(再手術) 81
2手術眼 片眼 413
両眼 35
3麻酔 全身麻酔 163
静脈麻酔 0
局所麻酔 285
4性別 男性 237
女性 211
5年齢 0-9歳 111
10-19歳 101
20-29歳 42
30-39歳 32
40-49歳 33
50-59歳 32
60-69歳 43
70-79歳 46
80歳~ 8
6対象となった斜視 内斜視 129
外斜視 248
上下・回旋斜視 75
特殊斜視 10
眼振 3
7術式 直筋1筋(内・外・上・下) 153
直近2筋以上 276
下斜筋手術 20
上斜筋手術 1
筋移動術 7
眼科手術既往眼 18
筋に瘢痕や拘縮あり 11
Faden手術 0
調節糸法 18
Lost muscle手術 0

診療実績(2015年1月~12月)

斜視・弱視受診患者数
受診患者数 初診:940名
再診:3,692名
手術件数 全身麻酔:146件
局所麻酔:274件
斜視手術実態調査
調査項目 件数
1斜視手術 総数 420
(初回手術) 329
(再手術) 91
2手術眼 片眼 381
両眼 39
3麻酔 全身麻酔 146
局所麻酔 274
4性別 男性 187
女性 233
5年齢 0-9歳 96
10-19歳 101
20-29歳 32
30-39歳 28
40-49歳 34
50-59歳 30
60-69歳 40
70-79歳 50
80歳~ 9
6対象となった斜視 内斜視 127
外斜視 221
上下・回旋斜視 74
特殊斜視 9
眼振 3
7術式 直筋1筋(内・外・上・下) 180
直近2筋以上 217
下斜筋手術 25
上斜筋手術 1
筋移動術 4
眼科手術既往眼 50
筋に瘢痕や拘縮あり 10
Faden手術 0
調節糸法 18
Lost muscle手術 0

診療実績(2014年1月~12月)

斜視・弱視受診患者数
受診患者数 初診:755名
再診:2,980名
手術件数 全身麻酔:136件
局所麻酔:236件
斜視手術件数(年齢別)
年齢 全身麻酔 局所麻酔 合計
0-9歳 88 0 88
10-19歳 33 56 89
20-29歳 6 21 27
30-39歳 2 20 22
40-49歳 2 23 25
50-59歳 3 24 27
60-69歳 0 45 45
70-79歳 2 36 38
80歳~ 0 10 10
合計 136 235 371

診療実績(2013年1月~12月)

斜視手術実態調査
調査項目 件数
1斜視手術 総数 332
(初回手術) 288
(再手術) 44
2手術眼 片眼 299
両眼 33
3麻酔 全身麻酔 136
局所麻酔 196
4性別 男性 164
女性 168
5年齢 0-9歳 93
10-19歳 66
20-29歳 25
30-39歳 18
40-49歳 27
50-59歳 22
60-69歳 38
70-79歳 29
80歳~ 14
6手術対象となった斜視 内斜視 84
外斜視 161
上下・回旋斜視 67
特殊斜視 25
眼振 4
7術式 直筋1筋(内・外・上・下) 145
直近2筋以上 187
下斜筋手術 27
上斜筋手術 0
筋移動術 25
眼科手術既往眼 20
外眼筋に瘢痕や拘縮あり 4
Faden手術 0
調節糸法 23
Lost muscle手術 1

診療科

部門

専門外来