放射線科オリジナルホームページ

診断

放射線科医師はエックス線写真、CT、MRI、核医学などの検査により、病変を見つけて診断し、病変の進展度や病変による機能異常などを判定しています。 さらに、血管造影やCTなどの画像を用いたIVR(interventional radiology:インターベンショナル・ラジオロジー)と呼ばれる患者さんの体にやさしい低侵襲の治療・検査を行います。病院内で縁の下の力持ちとし ての役割を果たしています。

治療

放射線治療は、手術療法、薬物療法とならび、がんに対する治療の三本柱のひとつです。欧米ではおよそ60%のがん患者が初回治療として放射線治療を受けており、日本でも放射線治療を受ける方は年々増加しています。
ただ、手術や抗がん剤治療とくらべてイメージしにくく、放射線に対する不安や副作用の心配をお持ちの方も少なくないとおもいます。
しかしながら、放射線治療には100年以上の歴史があり、長年にわたって多くの知識、経験が蓄積されています。さらに、最近のめざましい技術進歩もあり、現代の放射線治療は安全で効果的な治療法となっています。
放射線治療はほとんどのがんに対応し、病気が再発しないように完全に治す根治治療から、がんによる症状を和らげ、生活の質を回復、維持させる緩和治療まで治療目的は多岐にわたります。がんの種類によっては他の治療よりも効果的な場合もあります。また、ご高齢の方や持病により負担の大きい治療にむいていない方にもお役に立てる治療法です。
当院では最新の高精度放射線治療システムを導入し、患者さんにとって「負担の少ない安全な放射線治療」を心がけてまいります。経験ある専門のスタッフ(放射線治療専門医、放射線治療専門技師、放射線治療品質管理士、医学物理士、専従看護師)が治療の説明から、治療中、治療後のケアに至るまで安心して安全に放射線治療をうけていただける体制を整えています。がんの治療のどんな場面でも放射線治療がお役に立てる可能性があります。放射線治療に悩まれている方もまずはご相談ください。

診療部長・責任者

担当医一覧

主な対象疾患(治療)

  • 1脳腫瘍
  • 2頭頚部がん
  • 3肺がん
  • 4乳がん
  • 5食道がん、肝がん、膵臓がん、直腸がんなどの消化器がん
  • 6前立腺がん、膀胱がんなどの泌尿器がん
  • 7子宮頚がんなどの婦人科がん
  • 8悪性リンパ腫、多発性骨髄腫などの血液疾患
  • 9ケロイド、甲状腺眼症、聴神経鞘腫などの良性疾患

当院で施行されている画像検査について

  • 1CT
    X線を使用して体の内部の横断像を撮影します。撮影が速いため患者さんの負担が少なく、短時間の検査で非常に詳しい画像情報を得ることが できる検査です。当院では80列マルチスライスCTで高速かつ高解像度の画像を撮影することにより、横断像だけでなく様々な断面や3D画像に再構成して評価を行っており、より高度なCT診断が可能になっています。
  • 2MRI
    CTと異なりX線を使用せず、磁気と電波を使用して体の内部の断面像を撮影します。当院では3テスラの最新MRIを導入し、最新の撮影方法を探求することにより短時間で高度なMRI診断が可能になっています。
  • 3PET/CT
    PETとは、positron emission tomography (陽電子放出断層撮影) の略で、放射能を含む薬剤を用いる、核医学検査の一種です。PET検査では、全身を一度に調べることが可能で、CT・MRI検査などでは形の異常を診るのに対し、PET検査では、ブドウ糖代謝などの機能から異常をみます。それにより気付きにくい癌病変の発見や、既に見つかっている病変の良性・悪性の区別、転移状況や治療効果の判定、再発の診断などに有用です。当院では地域内でも最も最新の高機能PET/CT装置を導入し、精度の高い診断を行っています。
  • 4乳房撮影(マンモグラフィ)
    近年、日本では乳がん患者さんが急増しており、現在女性のがん罹患率の第1位となっています。それと同時に乳がんは検診で早期発見できる 可能性が高いがんであり、マンモグラフィはその重要な診断方法の1つで、乳房専用の特殊なX線撮影装置で、乳房の内部構造を細部まで明瞭に描出し、がんを検出します。当院では最新のマンモグラフィー撮影装置を用いて、 乳がんの早期発見に努めています。
  • 5低侵襲治療(IVR)
    一般に侵襲的な治療としては手術・内視鏡治療・IVRが挙げられます。それぞれの治療に利点があり、手術は確実に病変を切除し、内視鏡治 療は体の表面に傷を残さずに消化管内部の治療が可能です。我々が担当するIVRはカテーテル治療や血管内治療とも呼ばれ、画像を見ながら体の外から精密な カテーテルや針などで治療する未来的な治療であり、治療後の体力の回復が早く、体にほとんど傷を作らないやさしい治療です。当院では血管造影装置とCTを組み合わせたIVR-CT装置が導入されており、より高度なIVR手術が可能となっています。

特徴・特色

診断
画像診断ではあらゆる診療科からCT、MRIなどの画像診断を依頼され、画像の質や放射線被曝を管理し、病気を診断する読影レポートを作成しています。全身の病気を診療し、対象とする疾患は多岐にわたっています。IVRでは肝がんの抗がん剤の動脈内注入・塞栓術(血管を詰める治療)、外傷や消化管出血の動脈塞栓術、胃食道静脈瘤の塞栓術、生検と呼ばれる病理組織の採取、肝がんのラジオ波凝固療法などを担当し、消化器内科等関連科と協力して治療を行っています。
各種画像診断、IVRについて、他の医療機関からの紹介を随時受け付けています。いずれも病診連携室を介してご依頼下さい。また従来の電話、FAXでの依頼に加えて、24時間いつでもWebからの予約も可能となっていますので、別途登録が必要となりますが、こちらもご利用下さい。
治療
 当院の放射線治療システムは、現代のがん治療のさまざま要望に応えることのできる最新の治療装置、「TrueBeam(米国 バリアン メディカルシステムズ社製)」を導入しています。
TrueBeamは、強度変調放射線治療(IMRT)(※1)や定位放射線治療(※2)といった高精度の放射線治療を従来と比較して、より短時間で行うことができます。

Rapid Arcは、IMRTの進化形の強調変調回転放射線治療(VMAT)と呼ばれています。この方法は従来よりも治療時間が短縮でき、とくにご高齢の方や痛みをもつ患者さんにとってより負担の少ない治療が提供できます。

また、放射線治療を行ううえで、放射線を正確に腫瘍へ当てることはたいへん重要です。治療前や治療中に患者さんの画像情報(X線画像等)をもとに日々の位置のずれを修正しながら正確に治療する技術を画像誘導放射線治療(IGRT)と呼んでいます。IGRTによって治療の精度を高めることできるので、放射線を当てる範囲を小さくし、副作用を抑えることが期待できます。IGRTには様々な手法があり、当院でもいくつかの装置を採用しています。

ExacTrac system(ドイツ ブレインラボ社製)は、その装置のひとつで治療の精度を損ねずに位置合わせにかかる時間を短縮し、患者さんへの負担を軽減できます。また、頭部の定位放射線治療では、従来型の麻酔や痛みを伴う患者に負担のかかる金属フレームによる固定を行わなくても、高い精度で治療が可能です。

このように高精度の放射線治療は、いくつもの技術をあわせて実現されます。
高精度放射線治療の技術は、多様で複雑化してきています。現代の放射線治療は、装置や技術を導入しただけで質の高い放射線治療ができるというわけではありません。患者さんごとにさまざまな治療技術をどう生かしていくかという専門知識や経験もたいへん重要となっています。
当院では、機器だけではなく、それを使用する経験ある専門のスタッフが治療の質はもちろん安全面でも細心の注意を払い、適切で丁寧な放射線治療を提供できるような体制を整えております。

当院は平成29年2月より放射線治療の診療を開始しました。
放射線療法が従来の手術療法や薬物療法に加わることにより、患者さんおひとりおひとりに最も適した集学的治療(手術療法、薬物療法、放射線治療を結集させた治療)を院内で完結することが可能になりました。
今後とも、院内はもとより院外の担当科とも連携し、患者さんに最適な放射線治療を提供し、地域のがん診療に貢献してまいります。

※1:コンピューターの助けをかりて腫瘍に当たる放射線の量を増やし、まわりの正常な組織に当たる放射線の量を減らすことができる方法です。通常の放射線治療では腫瘍のまわりの正常な組織にも腫瘍と同じ放射線の量が当たってしまい、治療効果を維持しながら合併症を抑えることが困難でした。IMRTにより従来の方法では不可能であった理想的な放射線治療が可能となり、治療効果の向上や副作用の軽減が期待できます。
※2:ピンポイント治療ともよばれ、小さな腫瘍に対してさまざまな方向からきわめて高精度に放射線を集中させる方法です。定位放射線治療は、通常の放射線治療に比べ、腫瘍だけに短い期間に1回の放射線の量を大きくして放射線を当てることで治療効果を高めることができます。また、腫瘍だけに放射線を集中できるので、周りの正常な組織の障害を抑えることもできます。

実績

令和4年4月~令和5年3月

区分 入院・外来 件数(件)
一般 入院 18,002
外来 32,593
マンモグラフィ 入院 11
外来 1,770
一般透視 入院 635
外来 1,289
核医学 PET/CT 外来 953
SPECT 入院 161
SPECT 外来 323
CT 入院 5,075
外来 15,851
MRI 入院 1,553
外来 7,252
血管撮影IVR 入院 928
外来 442
放射線治療 総治療数 5,940
うちIMRT(IGRT有) 1,856
定位治療 320

診療科

部門

専門外来