不適合事案のご報告と再発防止策について
「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に係る不適合事案のご報告と再発防止策について
令和5年3月14日
川崎医科大学総合医療センター
病院長 猶本良夫
この度、川崎医科大学総合医療センター(以下、「当院」という。)で実施されていた臨床研究に関し、文部科学省・厚生労働省が定める「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」における重大な不適合事案が発生していたことが判明いたしました。ここに謹んで深くお詫びを申し上げますとともに、調査委員会による調査内容及び再発防止策についてご報告を申し上げます。
研究名称
「60歳以上の慢性便秘症におけるエロビキシバット投与による直腸感覚閾値の影響を検討する単施設プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験」
事案の概要
本研究において、研究責任医師の判断および対応を含めて問題がありました。まず研究計画書から実施内容が外れていたにもかかわらず、研究を実施していました。次に、研究計画書の不遵守、研究の信頼性に影響を及ぼす選択・除外基準の不遵守が該当していたが、研究者はモニターに指摘されるまでに「重大な不適合」であったことに気づいておらず、この違反に対して「安全性等に問題のない」と解釈していました。また、不適合が起こった時の研究者の取るべき対応について、実施施設の病院長への報告が極めて遅れていました。
調査委員会による調査および再発防止策
当院は、本件の判明を受け、令和4年10月に外部専門家3名を含む調査委員会を設置し、真相究明のための詳細調査、原因分析を行うとともに、再発防止策の立案を進めてまいりました。
再発防止策としては、研究責任医師、研究グループに対して、臨床研究法の理解を深め、その定めることを厳格に遵守し研究を行うこと、今後、不適合基準の患者を出さないためにはどのようにしたら防止することができるのか、チェック体制、モニタリングの方法、患者確認の手段を再検討することとしました。また、病院組織としては研究者へ臨床研究法に対する教育を徹底し、不適合発生時の手順を明確化し、周知徹底を行うこと、研究計画書を確認する際に、研究内容以外の規則等の部分についてチェックする体制を整えることといたしました。
当院といたしましては、本事案を厳粛に受け止め深く反省するとともに、さらに可能な限りの対策を講じながら、倫理性・安全性・信頼性・科学性を担保しつつ臨床研究が遂行されるよう細心の注意を払い、当院の研究体制に対する信頼回復に全力を傾注してまいります。
この度は、本研究にご参加いただいた患者さん、及び本研究の関係者の皆様に重ねてお詫び申し上げます。
調査委員会報告書[PDF版]